介護の人手不足はなぜ続く?必要数推計と採用難への向き合い方を解説

深刻な人手不足が続く介護現場では、「早番が埋まらない。」「夜勤者の負担が偏る。」
求人を出しても応募が少なく、急な欠勤が出ると管理者がそのまま現場へ入る、
そんな悪循環が続くと人材紹介会社への依存度が高まり、採用コストばかりがかさんでしまいます。

さらに焦って採用しても、現場には教える余裕がなく、介護記録や申し送りも曖昧なまま配属せざるを得ない……。これでは既存スタッフの疲労が限界に達するのも無理はありません。

介護の人手不足は、単に「今、人が集まらない」という一時的な採用難ではありません。
高齢化に伴い、必要とされる介護職員の数そのものが増え続けていく「構造的な問題」です。

厚生労働省の公表によると、必要な介護職員数は2026年度には約240万人
そして2040年度には約272万人にまで膨らむと試算されています。

だからこそ、国内採用だけで埋める発想から、外国人介護人材を含めた複数の採用ルートを持つ発想へ変えていく必要があります。制度名だけで選ぶのではなく、費用、日本語レベル、
教育担当、シフトへの入れ方まで見ておくと、自社で受け入れられる人材像を考えやすくなります。

この記事を読み終えるころには、持続可能なチームを作るための外国人材の選び方と。
受け入れ手順がしっかり整理できるようになります。

目次

「求人票の工夫」だけでは限界?介護の人手不足が解決しない本当の理由

「うちの施設、本当に人が集まらないな……」と悩む日々、本当に疲れてしまいますよね。

でも、介護業界の人手不足という問題は、実は「求人票の書き方や出し方」
を工夫するだけで解決するほど、単純な問題ではないのです。

これから介護業界で必要とされる職員数がどんどん増えていく中で、
これまでと同じ採用方法(ハローワークや求人誌に出しっぱなしなど)のままでは、
状況は厳しくなる一方です。スタッフが足りない穴埋めのために、施設長や管理者が現場のシフトに入り、クタクタになっていく時間がこれからもっと増えてしまうかもしれません。

「今までのやり方では、もう人が集まらない」そう気づいた今こそ、
これからの時代に合った新しい採用の仕組みへ、一歩踏み出してみるタイミングなのかもしれません。

労働省の第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数では、
2022年度の介護職員数215万人に対し、2026年度には約240万人、
2040年度には約272万人が必要とされています。
これは、今ある欠員だけでなく、将来的な介護分野のサービス提供そのものに関ってくる数字です。

介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数

必要数推計から見る介護職員不足について

介護職員不足を考えるとき大切なことは、「今月のシフトをどう埋めるか」だけではありません。
「3年後も、今と同じやり方で人材が集まるだろうか?」という一歩先を見据えた視点が必要です。

たとえば、「夜勤明けのスタッフがそのまま早番の応援に入り、管理者は午後の入浴介助へ…」
というギリギリの毎日が続くと、採用活動に充てる時間は、どうしても後回しになってしまいます。
そして、採用が遅れると現場の負担がさらに増え、新人を育てる余裕すらなくなっていく。
介護の現場では、この「がんばる人ほど追いつめられる悪循環」に陥りやすいのです。

将来的な介護人材の確保のためには、給与や勤務時間などの処遇改善離職防止
多様な人材の確保(外国人材の受け入れ)など、今までのやり方とは異なる取り組みが必要です。
国内での採用を続けながら、「海外からの新しい力」「短時間だけ働きたい人」
「経験豊富なシニアの再雇用」などをミックスし、同時に「ムダな業務のカット」などを進めて、
みんなが働きやすい環境を整える、このマルチな視点が、今まさに欠かせません。

国内採用だけに頼るリスクとは?

国内の採用だけに頼ろうとすると、求人費用をどれだけ上げても応募が全く増えない、
という壁にぶつかります。さらに、高い紹介料を払ってようやく採用できても、
スタッフの「働きたい時間」と施設の「入ってほしいシフト」がズレていれば、
結局すぐに辞めてしまうというリスクは消えません。

新しいスタッフが決まるまで、現場を守り続けるスタッフの負担は増すばかりです。
忙しすぎて申し送りの時間は削られ、介護記録はどんどん後回しになり、
さらに、ご家族からの大切な質問も現場の手が回らず、
「管理者が一人で抱え込んで対応する」という事態も起こりがちです。
新しい仲間を待つ間の現場は、想像以上にギリギリの状態です。

外国人介護人材は、すべての人手不足を一度に解決する方法ではありません。
ただ、採用ルートを増やし、将来のシフトを支える候補者を早めに見ておくことは、
介護採用難への現実的な備えになります。

介護人手不足の原因と採用難の背景とは?

介護の人手不足の原因は、単に「応募が少ないこと」だけではありません。
業務の忙しさ、勤務時間の長さ、教え方の仕組み、そして長く続けてもらうためのサポート。
これらがうまく噛み合っていないと、せっかく採用しても現場になじめず、
結局「採用しては辞め、採用しては辞め」を繰り返すことになってしまいます。

現場がギリギリだと、管理者はつい「とにかく誰でもいいから1人ほしい!」と、
採用を急いでしまいがちです。ただ、条件をあいまいにしたまま採用してしまうと、
いざ働き始めてから「夜勤に入れると思ったのに」「記録の書き方が全然違う」
「どこまで介助をすべきか分からない」といった、お互いのズレが浮き彫りになってきます。

結果として、「人手不足を埋めるはずの新人が、教育担当スタッフの負担をさらに増やしてしまう」
という本末転倒なことが起きてしまいます。

現場の「小さなSOS」として現れる人手不足のサインとは?

介護職員不足は、求人管理表に数字として表れるより前に、小さな場面で現れ始めます。

たとえば、申し送りで「昨日より食事量が少ない」「夜間に不穏があった」といった
大切な申し送りを伝える時間すら足りない。夜勤中に転倒が起きれば、
報告書を書くためにスタッフが自分の休憩を削ってパソコンに向かう。
家族から状態変化について質問されたとき、日中答えられるリーダーへ確認が集中してしまう。

こうした場面が増えると、既存職員は「忙しい」だけではなく、
利用者の方に対して「責任を持ってケアしきれない」という不安を抱えるようになります。
採用難は、単に人が足りない状態ではなく、既存職員の定着にも影響する問題です。

「とにかく1人ほしい」の罠:欠員補充だけの採用が失敗する理由

介護人材の採用でよくある失敗は、採用目的を「空いたシフトを埋めること」
だけにしてしまうことです。

もちろん、足りない枠を今すぐ埋めることは最優先ですが、
「最初の1ヶ月目は何を任せるか」
「誰が教育係になるか」
「3ヶ月後にはどこまで一人立ちしてもらうか」
をあいまいにしたまま採用すると、現場は必ず混乱します。

先輩スタッフがそれぞれ毎日違うことを教え、既存職員が「どこまで任せてよいのか」
を都度確認する状態では、新しいスタッフ本人も力を発揮しにくくなります。
採用前に業務範囲を決めておくことが、結果として定着支援にもつながります。

外国人介護人材の受け入れ制度ってどんなものがあるの?

外国人介護人材の受け入れ制度は、
それぞれの目的や「ビザ(在留資格)」によって中身が異なります。
「なんとなく知っている制度名」だけで選んでしまうと、
いざ採用したあとに「任せたい業務が法律上できなかった」
「思ったより短い期間しか働けなかった」
「事前のサポートや手続きが多すぎる」
「急に転職されてしまった」といった深刻なズレが起きてしまいます。

介護分野での主なルートは、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つです。
厚生労働省の外国人介護人材の受入れに関する案内でも、この4制度が案内されています。

介護分野における特定技能外国人の受入れ案内・キズナキャリア

外国人介護人材受け入れ制度・4つの制度の基本について

代表的な4つの制度のそれぞれの違いは、次のように
「現場の目線に合わせて、ポイントを絞って見る」とスッキリと整理できます。

スクロールできます
制度主な考え方現場で見ること
特定技能人手不足分野で一定の技能・日本語力を持つ人材を受け入れる制度即戦力に近い配置を考えやすいが、支援体制と業務範囲の確認が必要
技能実習技能移転を目的とする制度教育計画や指導体制を強く意識する必要がある
EPA経済連携協定にもとづく介護福祉士候補者の受け入れ国家試験を見据えた学習支援と勤務の両立が課題
在留資格「介護」介護福祉士資格を持つ人が介護業務に従事する在留資格専門性を活かした配置を考えやすい

EPAは、経済連携協定にもとづいて国と国との特別な約束ごとに基づいて、
将来の「介護福祉士」を育てるための仕組みです。

在留資格「介護」は、すでに日本の「介護福祉士」の国家資格を持っている外国人が、
現場のプロとして、また指導者としてバリバリ働くための資格です。

施設長が外国人採用の制度を選ぶときに、大切なのは「どの制度が有名か」
ではありません。まずは、「自施設で、外国人スタッフが、入職した最初の月に、
どんな業務を任せたいか」
という現場の目線で選ぶことが重要です。

利用者への声かけ、入浴介助の補助、食事介助、記録、申し送りの
どこから始めるかで、必要な日本語と教育内容が変わってきます。

特定技能の基本とは?

「特定技能」とは、特に人手が足りない分野で、即戦力となる外国人を迎えるための資格です。

介護の「特定技能1号」として働くためには、次の3つの試験に合格する必要があります。

  1. 介護の技術テスト(介護技能評価試験)
  2. 介護の日本語テスト(介護日本語評価試験)
  3. 日常会話の日本語テスト(日本語能力試験N4など)

つまり、「介護の基本」「現場で必要な日本語」をすでにしっかり勉強して、
テストをクリアしてきた人たちが集まる資格です。
介護分野における特定技能外国人の受入れで試験の扱いが案内されています。

特定技能1号は、通算在留期間が原則5年以内です。
出入国在留管理庁の通算在留期間の案内では、特定技能1号の通算在留期間に関する最新の扱いを確認できます。

特定技能の外国人スタッフは、自分の意思で転職することができます。
(他の施設や分野に移る場合は、ビザの変更手続きが必要です)
同じ施設で長く働いてもらうためには、給与だけでなく、
勤務時間、住まい、教育体制、外国人介護スタッフ本人の希望する
将来の業務範囲まで合っているかが大切です。

技能実習から育成就労へ:現場が知っておくべき視点

技能実習の中でも「介護」には、他の職種にはない特別なルール(固有要件)が決められています。
厚生労働省の介護職種の技能実習制度に関する案内では、
介護サービスの特性に対応するための固有要件が案内されています。

一方で、技能実習制度は育成就労制度への移行が予定されています。
厚生労働省の外国人介護人材ページでは、介護分野の育成就労制度について令和9年4月1日施行予定と案内されています。

制度が新しく変わるタイミングでは、
「過去に技能実習生を受け入れたことがある法人」ほど注意が必要です。
「前もこうだったから大丈夫」という昔の感覚のまま進めてしまうと、
提出する書類の内容はもちろん、現場での支援体制や教育計画が新しいルールと
ズレてしまうからです。 採用をスタートする前に、必ず最新の公式情報を確認し、
自社の受け入れルールもアップデートしておきましょう。

介護職種の技能実習制度に関する案内・キズナキャリア

外国人介護人材の採用費用ってどれぐらいかかるの?

外国人介護人材の費用は、紹介会社などに払う「採用コスト」だけでは計算できません。
採用した後の「サポート費用」「住まいの準備」、さらには
「現場スタッフが外国人介護スタッフに教える時間」まで含めて考えておかないと、
管理者や指導担当者にどれぐらいの負担がかかるのかが、見えにくくなります。

費用を小さく見積もったまま外国人介護人材の採用を進めてしまうと、
外国人スタッフ入職後に「誰が空港対応をするのか」「住居契約はどこまで支えるのか」
「生活相談は管理者が受けるのか」という話が後から出てきて、
現場での教育時間を圧迫してしまいます。

採用前にかかる費用とは?

採用前に計算すべき費用は、紹介料や求人費といった「目に見えるお金」だけではありません。
どの制度やルートを選ぶかによって、複雑な申請書類の作成、ビザ(在留資格)の準備、
通訳を入れた面接や翻訳作業、現地との連絡調整など、「手間と時間」というコストが発生することを忘れてはいけません。

社内で費用を説明するときは、次の項目を並べておくと話が進みやすいです。

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費用項目見るポイント
採用費紹介、募集、面接設定などにかかる費用
手続き関連費在留資格や必要書類に関わる準備費用
渡航・入職準備来日前後の移動、初期対応、生活立ち上げ
住居関連住まいの確保、備品、契約時の負担範囲
教育時間教育担当者が現場から離れる時間
定着支援面談、相談対応、生活面のフォロー

費用を先に見ておきたい場合は、料金表ダウンロードページで採用前後にかかる費用の考え方を確認できます。採用単価だけでなく、受け入れ後の支出まで見ておくと、社内で説明しやすくなります。

採用後にかかる費用とは?

外国人介護スタッフの採用後に見落とされやすいのは、教育担当者の時間というコストです。

外国人スタッフの入職初月には、記録様式、フロアごとのルール、利用者ごとの声かけ、
ナースコール対応、事故報告の流れなど、覚えることが一気に増えます。
教育担当者へ質問が集中すると、通常業務が遅れ、ほかの既存の職員がフォローに回る、
という場面も出てきます。

日常生活のサポートも、大きな「費用と手間」がかかるポイントです。
外国人スタッフの役所での住民登録、銀行口座の開設、携帯電話の契約、
通勤ルートの案内、ゴミ出しのルール、病気になった時の病院探しなど、
日本で暮らすための土台作りには多くのフォローが必要です。
特に特定技能1号では、こうしたサポートが法律上の「義務(支援計画)」になっています。
自社スタッフで対応するのか、専門の「登録支援機関」にお金を払って任せるのかを、
採用前から決めておかなければなりません。

離職時のやり直しコストとは?

外国人スタッフ採用後に早期離職が起きてしまうと、採用費だけでなく、
その外国人スタッフにかけた教育時間も戻りません。

たとえば、3か月かけて食事介助、移乗補助、記録の書き方を教えたあとに
退職されてしまうと、また次の採用者へ同じ教育をもう一度行うことになってしまいます。

費用を考えるときは、「採用するまでにいくらかかるか」
だけを見るのでは不十分です。もし早期離職されてしまったら、
「紹介料や準備費用のムダ」「またゼロから採用・教育をやり直す手間」など、
どれほどの損失が出るかまで想定しておく必要があります。

この「辞められたときのリスク」まで頭に入れておくと、
ただ条件に合う人を探すのではなく、「本当に自施設で長く定着してくれるか」
という一番大事な基準で外国人介護人材を選べるようになります。

専門家の声(播 征幸)

外国人材のなかには、「日本で働くビザを取りやすいから」という理由で「介護」を選ぶケースも少なくありません。そうしたケースでは、
いくら日本語が流暢であっても、採用後に長続きしない可能性が高くなってしまいます。
採用時に見極めるべき本当のポイントは、語学力以上に「なぜ介護なのか」「日本で介護職としてどんな将来を描いているのか」という明確な意志とモチベーションだと思います。

日本語レベルと介護現場の見方

日本語能力は、N3やN4といった「テストの点数(級)」だけで判断することはできません。
テストの数字だけで「N3を持っているからこの仕事を任せよう」と決めてしまうと、
「申し送りが正しく伝わらない」「介護記録のニュアンスがおかしい」
「急変時の報告が間に合わない」といった、現場のトラブルにつながってしまいます。
大切なのは、テスト結果ではなく「実際の介護の場面で言葉が通じるか」を見極めることです。

JLPTは、日本語能力試験のことです。N4は基本的な日本語を理解できる水準、
N3は日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる水準として案内されています。
日本語能力試験の認定の目安では、N1からN5までの水準を確認できます。

外国人介護人材日本語能力試験の目安・キズナキャリア

申し送りで見る日本語レベルとは?

申し送りでは、単語を知っているだけでなく、状態変化を短く伝える力が必要です。

「昨日より食事量が少ない」「夜間に2回起きた」「右足をかばって歩いている」など、
介護現場では小さな変化を共有します。本人が言葉に迷う場合は、最初から長い申し送りを任せるのではなく、定型文やチェック項目を使いながら慣れてもらう方法があります。

教育担当者は、外国人スタッフが「日本語ができるか」ではなく、
「どの場面なら一人で伝えられるか」を見たいところです。
利用者への日常的な声かけ、職員間の確認、看護職への報告では、
求められる日本語が変わってきます。

介護記録で見る日本語レベルとは?

介護記録では、丁寧な文章よりも、事実を短く正確に書けることが大切です。

介護記録は「10時15分、居室内で尻もち。痛みの訴えなし。看護職へ報告済み。」
のように、時間・場所・状態・対応を具体的に書くのがルールです。
日常会話が得意な外国人スタッフでも、記録となると「漢字」「専門用語」「施設独自の略語」
でつまずくことが少なくありません。

まずは、教育担当者があらかじめ「お手本(記録例)」を用意しておくことが大切です。
真似できるお手本があれば本人はスムーズに書けますし、逆にスタッフごとに書き方がバラバラだと、指導する側・確認する側の負担まで増えてしまいます。

利用者・家族対応で見る日本語レベルとは?

利用者への声かけでは、正しい日本語だけでなく、安心感のある言い方も求められます。
食事介助中に「少しずつ食べましょう」と伝える場面、入浴前に不安を和らげる場面、
認知症のある利用者へ同じ説明を繰り返す場面があります。

ご家族への対応は、トラブルを防ぐためにもより慎重な進め方が求められます。
利用者様のお体の状態説明や事故報告などは、あらかじめ「どこまでを施設長や相談員が対応するか」というルールを決めておくことが大切です。

外国人スタッフにいきなり一人で家族説明を任せるのは避けましょう。
まずは「先輩の対応に同席する」「決まったフレーズで受け答えする」
「詳しい話は管理者へ引き継ぐ」というステップから段階的に慣れさせていくことが、
現場にとって一番安全です。

制度を理解しても、「自社に合う人材がいるか」は別の問題です。
日本語レベルや介護経験を見ながら考えたい場合は、
人材スカウト画面で候補者の条件を確認できます。

夜勤・訪問介護・シフト設計についての考え方

外国人スタッフに夜勤や訪問介護を任せるかどうかは、
「制度としてやっていいか」だけで判断してはいけません。
「急変したときにすぐ報告できるか」「日本語でスムーズに連絡できるか」
「利用者様やご家族に説明できるか」「どれくらいの期間、先輩が同行するか」
といった具体的なルールまで決めておかないと、すべてサポートに入る夜勤スタッフや、
施設責任者にしわ寄せがいってしまいます。

特に一人対応の時間がある業務では、本人の経験と施設側の連絡体制が重要です。
夜勤中の転倒、発熱、急変、家族への連絡が必要な場面をしっかり想定してから配置を考えます。

夜勤配置の見方・注意点とは?

夜勤は、日中業務ができるようになった後の延長ではありません。

夜勤者は、少ない人数で利用者の状態変化を見ます。転倒が起きたとき、
どこまで観察し、誰へ電話し、どの記録を残すのかを理解している必要があります。
日本語での報告が不十分だと、看護職や管理者が状況をつかむまでに時間がかかってしまいます。

外国人介護人材を夜勤シフトへ入れる場合は、最初から一人で任せるのではなく、
日中業務、遅番、同行夜勤、見守り範囲の拡大という段階を置く方法が現実的です。
外国人スタッフ本人の不安も小さくなり、既存職員も任せる範囲を把握しやすくなります。

訪問介護での注意点とは?

訪問系サービスは、周りに先輩がいない「一人きりでの対応」が多くなるため、
施設勤務よりも入念な準備とルール遵守が求められます。

外国人スタッフを訪問系サービスへ配置するには、資格(初任者研修など)や実務経験といった条件を満たすだけでなく、利用者様・ご家族への事前説明、丁寧な同行研修、
キャリアアップ計画の作成が必須です。
さらに、一人で訪問するスタッフを守るためのハラスメント対策や、
急変時にすぐ連絡・相談できる緊急時体制の整備まで、
施設側が責任を持って整える必要があります。
厚生労働省の外国人介護人材の訪問系サービスへの従事に関する案内で最新の扱いを確認してから進めましょう。

外国人人材の訪問系サービスの従事について・キズナキャリア

訪問では、利用者宅で予定外のことが起きます。鍵が開かない、利用者が転倒している、
家族から急に質問される、体調変化をどう報告するか迷ってしまう。
施設責任者は、本人が一人で抱えない連絡手段を用意しておく必要があります。

シフトへ入れる前の確認項目・シフト設計について

シフト設計では、次の項目を先に決めておくと現場が動きやすくなります。

  • 初月に入る勤務帯
  • 同行する職員
  • 申し送りで本人が話す範囲
  • 介護記録の確認者
  • 緊急時の連絡先
  • 夜勤開始の条件
  • 訪問系サービスへ入る前の研修と同行期間

管理者がここを決めないまま配属すると、既存職員が毎回その場で考えることになります。
本人の能力の問題ではなく、施設側の受け入れ準備の問題として見ておきたい部分です。

採用前に決めたい受け入れ条件とは?

外国人材の採用を進めるときは、「どの制度(特定技能・技能実習など)を使うか」よりも先に、
「自社の現場でどう働いてもらうか」という条件を決めることが大切です。

現場の受け入れ条件(任せる業務、求められる日本語力、必要なサポート体制など)
が固まっていないと、いくら候補者の面接をして履歴書や日本語レベルを見ても、
その人が「本当に自社に合うかどうか」を正しく判断できなくなってしまいます。

キズナキャリアでは、外国人介護人材の採用を考えるとき、
次の5つを先に見ることをおすすめしています。

キズナキャリアの採用判断軸

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採用前に見ること現場での確認内容
初月に任せる業務食事介助、見守り、環境整備、記録補助など、最初の業務を決める
日本語で確認したい場面申し送り、記録、緊急時報告、利用者対応のどこを重視するか
教育担当と副担当日々教える人、記録を確認する人、生活相談を受ける人を決める
生活支援の範囲住居、通勤、行政手続き、体調不良時の相談範囲を決める
3か月後・6か月後に任せたい業務夜勤、入浴介助、訪問系サービスなど、業務拡大の時期を見る

この5つを基準に置いてから候補者を見ると、採用条件が具体的になってきます。
たとえば、初月は日勤帯で記録補助まで、3か月後に遅番、6か月後に夜勤同行を目指すなら、
面接で確認する日本語も変わりってきます。

定着しやすい人材の条件

定着しやすい外国人介護人材は、日本語試験の結果だけで判断することはできません。

外国人材の「採用後の早期離職」の多くは、入職前の「お互いの見通しのズレ」から起こります。
本人の介護経験や生活環境、やる気や目標はもちろん大切ですが、
それが「今の自施設の体制で叶えられるか」を必ず照らし合わせる必要があります。

たとえば、「夜勤でしっかり稼ぎたい本人」と「半年間は日勤でじっくり育てたい施設」では、
すり合わせがないまま入職すると、外国人スタッフの不満につながります。
お互いのために、施設側の育成スケジュールや見通しを明確に伝えることが大切です。

既存の職員にとっても、外国人スタッフ本人の目標が見えていると関わり方が変わります。
「介護福祉士を目指したい」「日本語を伸ばして記録を任されたい」という希望があれば、
教育担当者は面談で次の課題を伝えやすくなります。

採用前チェックリスト

外国人介護人材の受け入れ前には、最低限次の項目を確認しましょう。

  • 在留資格と制度の要件
  • 任せる業務と勤務帯
  • 日本語で確認したい場面
  • 介護記録の教育方法
  • 主担当と副担当
  • 生活支援の担当範囲
  • 緊急時の連絡体制
  • 費用の内訳
  • 3か月後、6か月後の業務目標
  • 本人の希望条件と施設のシフトの一致

よくある失敗は、外国人候補者をただの「人手不足を穴埋めするための『頭数』」
として採用してしまうことです。
「人数」だけで採用してしまうと、外国人スタッフが入職後に、
「思った以上に日本語のフォローが必要だった」「教える担当者が足りない」
「夜勤に入るタイミングが合わない」といった現場とのズレが次々と発生し、
お互いにとって不幸な結果になってしまいます。

外国人介護人材の採用前にあらかじめ条件を決めておけば、制度名に惑わされず、
自施設の現場に合う候補者を見つけやすくなります。

まとめ

介護の人手不足は、求人を増やせばすぐに解消する一時的な問題ではありません。
厚生労働省の必要数推計を見ても、介護職員不足は今後も続く構造的な課題として
向き合う必要があります。

外国人介護人材の採用前に見るべきなのは、制度名だけではありません。
入職初月に任せる業務、日本語で確認したい場面、教育担当と副担当、
生活支援の範囲、3か月後・6か月後に任せたい業務を先に考えておくことが、
採用後の現場とのズレを減らします。

国内採用を続けながら、外国人介護人材を含めた採用ルートを持つことは、
将来のシフトを守るための選択肢です。
候補者の日本語レベルや介護経験を見ながら、自社に合う人材像を具体化したい場合は、
人材スカウト画面で実際の候補者条件を見ておくと、採用準備の優先順位を考えやすくなります。

よくある質問

介護の人手不足は今後も続きますか?

介護職員の必要数は今後も増える見通しです。厚生労働省の公表では、
2026年度に約240万人、2040年度に約272万人の介護職員が必要とされています。
国内採用だけでなく、離職防止、業務改善、外国人介護人材の受け入れを組み合わせて考える必要があります。

外国人介護人材を採用できる主な制度は何ですか?

介護分野では、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4制度があります。
制度ごとに目的、在留資格、支援内容、任せやすい業務が違うため、
厚生労働省の外国人介護人材の受入れに関する案内で最新情報を確認してから、自社の業務に合うルートを考えます。

特定技能の外国人介護士は何年働けますか?

特定技能1号は、通算在留期間が原則5年以内です。
ただし、在留期間の扱いには更新情報や例外が関わる場合があるため、
採用時には出入国在留管理庁の通算在留期間の案内を確認します。
長期的に働いてもらうには、在留期間だけでなく、介護福祉士資格や本人のキャリア希望も見ておく必要があります。

N4の外国人介護士に介護記録を任せてもよいですか?

N4は基本的な日本語を理解できる水準ですが、介護記録を一人で任せられるかは別の問題です。介護記録には、時間、状態、対応、報告先を短く正確に書く力が求められます。
最初は記録例、定型文、確認者を用意し、本人の理解度を見ながら任せる範囲を広げます。

外国人介護人材は夜勤に入れますか?

夜勤に入れるかは、制度上の確認に加え、本人の日本語力、介護経験、緊急時対応、
施設側の教育体制で考えます。夜勤中の転倒や急変では、観察、報告、記録、
連絡が必要です。いきなり一人夜勤へ入れるのではなく、日中業務、遅番、
同行夜勤など段階を置くほうが現場としても安心です。

訪問介護で外国人介護人材を受け入れるときの条件は何ですか?

技能実習生や特定技能外国人が訪問系サービスへ従事する場合、
介護職員初任者研修課程等の修了、原則として介護事業所等での実務経験、
利用者・家族への事前説明、研修、同行、キャリアアップ計画、相談窓口、
緊急時対応の環境整備などが関わります。
厚生労働省の訪問系サービスへの従事に関する案内で最新の条件を見たうえで、
サービス提供責任者のフォロー体制まで決めておく必要があります。

記事の監修者

播征幸のアバター 播征幸 海外人材専門家

総合商社、外資系IT企業などで培った経験をもとに、外国人材支援を通じて企業の成長と持続可能な社会づくりに貢献しています。

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