特定技能「介護」の試験とは?介護技能評価試験・介護日本語評価試験・N4の見方を解説

「外国人スタッフの面接で『特定技能の試験に合格しています!』と聞いたけれど、
正直、現場でどこまで任せられるのかイメージが湧かない」

そんな風に悩んだことはありませんか?

資格を持っているとはいえ、「日本語での申し送りはできる?」
「介護記録はスムーズに書ける?」
「夜勤に入れるようになるまで、どれくらい教育期間が必要なんだろう?」と、
現場を預かる管理者の方には、気になる疑問は尽きないですよね。

実は、「試験合格」という言葉だけで現場のイメージを持たないまま受け入れてしまうと、
後から現場の先輩も外国人スタッフ本人も戸惑ってしまう原因になります。

特定技能「介護」の試験は、採用の可否だけでなく、
初月に任せる業務と教育計画を決める材料として見ることが大切です。

今回は、試験結果の本当の読み解き方から、
入職後に「誰に・いつ・どこまで業務を任せるか」を
スムーズに決めるための具体的なステップを分かりやすく解説します!

この記事を読み終える頃には、3つの試験の関係、候補者の日本語レベルの見方、
採用前に施設側が決めておくべき受け入れ準備が具体的に分かるようになります。

目次

特定技能「介護」の試験要件とは?

特定技能の候補者と面接するとき、まずは、
「介護の技能」、「日本語」、「介護現場の日本語」を別々に確認することが必要です。

ここを一つの「日本語が上手な人」として見てしまうと、
外国人介護スタッフの入職後に「申し送りがうまく伝わらない…」
「記録の表現にズレがある…」といった現場の困りごとにつながってしまいます。

原則として、特定技能1号で介護分野に入る候補者は、
介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語試験の合格が必要となります。

制度の最新情報は、厚生労働省の介護分野における特定技能外国人の受入れ案内で確認しておきましょう。

外国人特定技能介護の要件とは・キズナキャリア.

特定技能「介護」人材の採用時・確認すべき3つの試験とその中身

特定技能介護人材の採用時、施設管理者が最初に見ておきたいのは、
候補者が、どの試験に合格しているかです。

スクロールできます
試験・要件見ている力採用側の見方
介護技能評価試験介護の基本、生活支援技術、判断を伴う実技課題介護業務の土台を学んでいるか
介護日本語評価試験介護のことば、会話・声かけ、文書現場で使う日本語に触れているか
JFT-BasicまたはJLPT N4以上日常生活に必要な日本語日本で生活し、基本的なやり取りができるか

特定技能「介護」の在留資格を取るために必要な3つの試験ですが、
実は、それぞれ現場での役割が異なります。

たとえば、JFT-BasicやJLPT N4以上は「日本語の日常会話の土台」、
介護日本語評価試験では、「介護のことば」「介護の会話」「介護の文書」を見ます。

面接で管理者の方にぜひ意識していただきたいのは、
「テストの点数が良かったかどうか」の、その先です。

「うちの施設に来てくれたとき、最初に任せたいあの場面で、
どんなふうに動いてくれるかな?」と、実際の現場に重ね合わせて見ることです。
たとえば、利用者への「声かけ」、食事介助中の「安全確認」、
そして万が一、転倒が起きてしまったときの「先輩への報告」。

そんなリアルな仕事のひとコマを面接の中で想像してみることが、
採用のミスマッチを防ぐ一番の秘訣になります。

試験免除がある候補者

特定技能「介護」で働くには3つの試験合格が原則とお伝えしましたが、
「これまでの経験や実績があるから、試験は免除でOK!」という候補者たちもいます。

もし履歴書や職歴に以下の経歴があれば、試験免除の対象となります。
面接前にぜひチェックしてみてください!

  • 介護職種の「技能実習2号」をまじめに最後まで(良好に)やり遂げた人
    日本での実務経験がすでに3年間あるため、現場の動きや日本の生活には慣れています。
  • 介護福祉士養成施設(専門学校や大学など)を修了した人
    学校で体系的にしっかりと介護を学んできた、知識の土台が高い人材です。
  • EPA介護福祉士候補者として、施設で働きながら規定の在留期間(4年間)を満了した人
    現場での経験値が高く、即戦力として期待できます

ただし、どの試験が免除されるかは、候補者の経歴によって異なります。
施設長や採用担当者は、「試験に合格しているか」だけでなく、
「どの経路で特定技能に移る候補者か」を確認しておきましょう。

過去に技能実習生として働いていた候補者でも、前職も介護職種だったかどうかで、
即戦力としての見方も変わってきます。

面接前に、合格証明書、修了証明、在留資格、職歴の4つを並べて確認しておくと
採用が決まった後のビザ申請の手続きもスムーズになり、
後から書類集めに追われるストレスが少なくなります。

特定技能介護資格試験「介護技能評価試験」ってどんな内容なの?

「介護技能評価試験」は、介護業務の基礎を学んでいるかを見る試験です。

履歴書に「介護技能評価試験に合格」とあると、
介護の基本が分かっているという安心感があります。

しかし、ここで管理者の方に知っておいていただきたいのは、
この試験はあくまで「介護業務の基礎のキ(入門編)を学んでいるか」
確かめるものだということです。試験をクリアしていても、
すぐに施設のすべての仕事を一人でこなせるわけではありません。

介護技能の試験には、筆記(学科)だけでなく、
体位変換や移動などの「実技の考え方」も含まれています。
そのため、基礎的な動きのイメージはできています。

しかし、一歩リアルな現場に足を踏み入れると、利用者の日々の体調変化、
フロアや施設ごとの独自ルール、職員間の申し送りなど、
テキストには載っていない「生きた業務」が次々と加わります。

採用が決まったら、管理者の方は現場の教育担当者と一緒に
「最初の1ヶ月目で、まず何を教えるか」をあらかじめ決めておきましょう。

介護技能評価試験の内容とは?

介護技能評価試験は、全45問、試験時間60分で行われます。
学科試験は介護の基本、こころとからだのしくみ、コミュニケーション技術、
生活支援技術、実技試験は判断などの形式で実技課題が出されます。
詳しい試験概要は、厚生労働省の介護分野における特定技能外国人の受入れ案内で確認できます。

定技能介護・介護特定技能評価試験・キズナキャリア

介護技能評価試験は「介護の入口を理解しているか」を見る材料です。
食事、排泄、移動、清潔保持などの言葉を知っているか、
介助の考え方に触れているかを確認できます。

ただ、施設ごとのルールややり方までは分かりません。
たとえば、同じ移乗介助でも、利用者の身体状況、福祉用具、職員配置、
転倒歴によって声かけや介助方法は変わります。

既存スタッフの方は「試験合格者だからすぐ同じ動きができる」と考えず、
現場のルールを一つずつ共有してあげることで、外国人スタッフも安心して
現場に馴染めるようになります。

入職初月にまず何を教える?現場ルールと試験知識のつなげ方

介護技能評価試験の合格は、外国人スタッフが入職した初月の業務を考える出発点になります。

たとえば、初月は見守り、食事介助、環境整備、記録補助から始める。
2か月目に移乗補助や入浴介助の一部へ広げる。3か月目に遅番へ入る。
こうした段階を置くと、外国人スタッフも既存職員も業務範囲をつかみやすくなります。

教育担当者に見ていただきたいのは、「試験の知識をどれだけ覚えているか」ではなく、
「本人が学んできた基礎を、目の前の利用者に合わせて応用できているか」という部分です。

認知症のある利用者へ声をかける場面、食事量が少ない利用者を見守る場面、
ふらつきがある利用者の歩行を支える場面では、試験知識に加えて、
状況に合わせた現場判断が必要になります。

外国人スタッフは、最初は「教科書通りの正解」をやろうと一生懸命で、
目の前の利用者に合わせた応用(現場判断)までは頭が回らないことも多いです。
先輩スタッフの方は、現場ならではのコツを少しずつプラスしていってあげましょう。

技能だけで採用しない理由とは?

介護技能評価試験に合格していても、日本語の聞き取りや記録が弱いと、
現場では別の負担が大きくなってしまいます。

例えば、夜勤明けの申し送りで「夜間に2回起きた」「右足をかばって歩いていた」と、
伝える場面があります。介助の動きはできても、この状態変化を短く伝えられなければ、
日勤者が利用者の変化を見落とすおそれがあります。

介護の「介助」そのものは上手にできても、こうした利用者のリアルな状態変化を、
次のスタッフへ短く的確に伝えることは、実はとても高度な日本語力が必要です。

技能試験の合格はあくまで「採用条件の一部(土台)」にすぎません。

採用を決める前に「本人のチカラ(技能・日本語)」「受け入れる側の準備(教育体制)」
をセットで並べてみておくと、自施設で「最初の1ヶ月自、どこから任せるのか」
の具体的なステップが見えてくるようになります。

介護日本語評価試験の内容と見方について

介護日本語評価試験は、介護現場で使う日本語を見る試験です。

一般的な日常会話ができても、介護記録や申し送りで使う言葉は別に確認しておかなければ、
教育担当者の負担が増えることになってしまいます。

この試験は、介護のことば、介護の会話・声かけ、介護の文書を扱います。
利用者への声かけ、職員同士の共有、記録の読み取りに関係するため、
採用後の業務範囲を考える上で欠かせない材料となります。

介護日本語評価試験とは?出題内容の基本

介護日本語評価試験は、全15問、試験時間30分で行われます。
出題は、介護のことば、介護の会話・声かけ、介護の文書です。
試験の概要については、厚生労働省の介護分野における特定技能外国人の受入れ案内で確認できます。

特定技能介護日本語試験概要・キズナキャリア

採用側にとって大事なのは、この試験が「介護現場に近い日本語」を見る点です。
たとえば、「体位交換」「食事量」「排泄」「転倒」「服薬」「申し送り」といった言葉は、
日常会話ではあまり使いません。

外国人介護スタッフが介護日本語評価試験に合格していても、
施設独自の略語や記録ルールには慣れていないことがあります。
教育担当者は、外国人スタッフの入職初月に使う言葉をリスト化し、
申し送りや記録の例文などを用意しておくと教えやすくなります。

申し送りの場面で見る日本語とは?

申し送りでは、長く話す力より、状態変化を短く伝える力が求められます。

「昨日より食事量が少ない」「夜間に不穏があった」「トイレ誘導時にふらつきがあった」など、
介護の現場では小さな変化を次の勤務者へ的確に伝えなければなりません。
外国人スタッフが言葉に迷う場合は、定型文やチェック項目を使う方法が有用です。

外国人スタッフが入職してくると、既存スタッフの方は、
日本語が「できる」「できない」で判断してしまいがちですが、
大切なのは、「できる・できない」でジャッジするのではなく、
現場に馴染むための「ステップ(段階)」を一緒に作ってあげることです。

まずは、食事(どれくらい食べたか)、排泄(出たか・出ていないか)、
睡眠(よく眠れたか)、移動(ふらつきはなかったか)など、伝える項目を決め
次に、教育担当者が横で補足するなど、段階を置くことで、
外国人スタッフも現場のリズムに入りやすくなります。

「介護記録の日本語」はどう確認する?

介護記録では、きれいな文章よりも、事実を短く正確に書く力が求められます。

たとえば、「10時15分、居室内で尻もち。痛みの訴えなし。看護職へ報告済み。」のように、
時間、場所、状態、対応を残します。
普段は日本語でスムーズな会話ができる外国人スタッフも、
記録となると、漢字や専門用語、施設ごとの略語で手が止まってしまうことがあります。

管理者が採用前の段階で「記録業務をいつから一人で任せるか」のロードマップを描いておくと、
現場の受け入れスタッフも迷うことなくスムーズに動き出せます。

入職の初月は下書き、2か月目は定型文、3か月目から一部記録を任せるなど、
段階を置くことで、既存スタッフの日々の記録確認にかかる負担を抑えることができます。

JFT-Basic・JLPT N4と介護日本語の違いとは?

JFT-BasicとJLPT N4以上は、日常生活に必要な日本語を見る試験です。

ここを「この試験に受かっているから、介護記録も夜勤の報告もできる」
という証明として扱ってしまうと、採用後に「あれ?思ったよりできないな……」と、
現場の期待値との間に大きなズレが生まれてしまいます。

JFT-Basicは、国際交流基金日本語基礎テストのことです。
日本の生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測るものとして、
特定技能1号の申請にも使われています。
詳しくは、国際交流基金のJFT-Basic公式情報で確認できます。

国際交流基金日本語基礎テスト・キズナキャリア

JFT-Basicの基本

JFT-Basicは、日本で生活するための日本語力を測る試験です。
日常会話や生活場面でのやり取りに関係するため、採用する施設側としては
「日本で働き始める土台」を見る材料になります。

ただ、JFT-Basicに合格していても、介護現場の文書や申し送りに慣れているとは限りません。
利用者の体調変化を伝えるとき、事故の状況を報告するとき、
そして看護職へ状態を連絡するとき。こうした場面では、
普段の生活で使う日常会話とは全く異なる言葉(専門的で的確な表現)が必要になります。

ただ、外国人スタッフが日本での生活に馴染み、「長く働きたい!」と
思えるようになるためには、「生活面の日本語」がしっかりとした支えになります。

毎日の通勤ルートを覚えること、スーパーでの買い物、体調を崩したときに病院で症状を伝えること、役所での行政手続きなど、プライベートの生活で困らないだけの日本語力があることは、
日本で安心して暮らし、仕事を続けるための大切な土台になるからです。

施設側としては、『介護の専門的な日本語は、現場で教えていく』」という前提で、
受け入れの準備を進めておくのがベストです。

T-Basicレベルの目安・キズナキャリア

JLPT N4の基本と日本語レベルの見方

JLPTは、日本語能力試験のことです。
JLPT(日本語能力試験)のN4」という資格は、おもに教室内で学ぶ基本的な日本語をどの程度理解できるかを確かめるための基準として作られています。
JLPT水準の詳細は、日本語能力試験の認定の目安で確認できます。

N4は、基本的な語彙や文法の理解を見るうえで参考になります。
ただ、会話の速さ、方言、利用者ごとの聞き取りづらさ、職員間の短い指示は、
試験結果だけでは分かりません。

面接では、「N4を持っているか」だけでなく、口頭での簡単な受け答えをして、
確認してみることが必要です。
たとえば、「夜勤中に利用者が転倒したら、誰に何を伝えますか」と聞くと、
本人の日本語と介護理解を同時に見られます。

外国人介護人材日本語能力試験の目安・キズナキャリア

試験結果と現場配置はどう違う?知っておきたい受け入れの基本

試験結果は、あくまで採用前の入口です。

実際にどのフロアに配属し、どんな仕事から任せるかという「現場配置」を決める段階では、
試験の点数だけで判断せず、本人の経験、日本語、教育体制、
利用者の状態を合わせて考えることが大切です。

たとえば、N4と介護日本語評価試験に合格していても、
初月から家族対応や事故説明まで任せてしまうのは、
外国人介護スタッフにとって大きな負担になってしまうことがあります。
状態説明や事故報告は、管理者や生活相談員へつなぐルールを先に決めておきましょう。

外国人介護人材受け入れの制度を理解しても、「自社に合う候補者がいるか」は別の問題です。
日本語レベルや介護経験を見ながら考えたい場合は、人材スカウト画面で候補者の条件を確認できます。

試験合格者を採用するときの費用と教育負担のコスト

特定技能「介護」の試験に合格している候補者でも、
採用後の費用と教育負担は発生します。ここを見込まずに採用すると、
教育担当者の時間、生活支援、定着面談などの負担が後から重くなってしまいます。

特定技能「介護」の試験をクリアしている候補者であっても、
採用した後に一定の費用や教育の手間(コスト)は発生します。

ここをはじめから予算やスケジュールに組み込んでおかないと、
いざ受け入れた後に、現場の教育担当者の時間が想像以上に削られたり、
プライベートの生活支援に追われたり、定着のためのメンタル面談に追われたりと、
後から見えない工数が膨らんで、「現場がパンクしてしまう」という事態になりかねません。

採用にかかる初期の「採用費」だけを見ていると、費用の比較がしやすく思えます。
しかし、実際に外国人スタッフを受け入れて現場で活躍してもらうためには、
目に見える採用費だけでなく、その裏側にあるたくさんの準備を含めて総合的に考える必要があります。

採用前後で見る費用の内容とは?

特定技能人材の採用では、候補者の試験結果だけでなく、
採用前後の費用も見ておく必要があります。

スクロールできます
費用項目採用側が見ること
採用費募集、紹介、面接設定など
手続き関連費在留資格、必要書類、申請準備
支援費生活オリエンテーション、相談対応、定期面談など
住居準備住まい、備品、契約時の負担範囲
教育時間教育担当者が現場から離れる時間
定着支援面談、評価、生活相談、学習支援

特定技能1号の制度では、外国人スタッフを受け入れる施設(受け入れ機関)が「支援計画」というサポートの計画書をあらかじめ作成し、それに基づいて生活や仕事の面で様々なサポート(支援)を行うことが義務づけられています。

支援を自社で担うのか、登録支援機関へ委託するのかは、
出入国在留管理庁の特定技能制度に関する案内で制度を確認したうえで決めておきましょう。

国人特定技能人材支援の内容・キズナキャリア.

費用を先に見ておきたい場合は、料金表ダウンロードページで採用前後にかかる費用の考え方を確認できます。採用単価だけでなく、支援費や教育時間まで含めると、社内で説明しやすくなります。

初月の教育担当は?事前に考えたい役割分担

どれだけ優秀で、試験に高得点で合格している外国人スタッフであっても、
入職した最初の1ヶ月目は「とにかく質問が急増する時期」です。

勤務表の見方、休憩、報告先、事故時の連絡、記録システム、
利用者ごとの声かけなど、施設ごとのルールは試験では学びきれません。
教育担当者への質問が集中すると、通常業務が遅れてしまい、
既存スタッフが記録や申し送りをフォローなければならない状況になってしまいます。

また教育担当者が一人だけで指導を抱え込んでしまうと、
その担当者が休みの日に、教育が止まってしまいます。
あらかじめ「主担当」と「副担当」を決めておき、
「記録の確認は主担当」「ちょっとした生活の相談は副担当」
「勤務体制や面談は管理者」といったように窓口を分けておきます。

役割を整理しておくと、教える側の負担が分散されて教育がスムーズに回るだけでなく、
外国人スタッフにとっても「誰に聞けばいいのか」を迷わずに、
安心して質問できる環境になります

早期離職を防ぐカギ!受け入れ側に必要な視点とは?

外国人スタッフの早期離職を防ぐために大切なポイントは「試験の点数」ではなく、
「本人が希望する働き方」と「施設側の受け入れ条件」が、
しっかり噛み合っているかどうかです。

どれだけ優秀でテストの成績が良い人でも、いざ働き始めてから
「思っていたシフトと違う…」「残業の多さが希望と合わない…」
「住まいの手当が聞いていた条件と違う…」
といったズレがあると、
不満や不安が溜まって早期離職に繋がってしまいます。

たとえば、本人は「稼ぎたいから一刻も早く夜勤に入りたい!」と思っていても、
施設側は「まずは昼間の業務にしっかり慣れてもらいたいから、
夜勤は半年後からかな」とじっくり育成を進めたい場合があります。

逆に、施設側は「人手が足りないから、早く遅番に入ってサポートしてほしい!」と焦っていても、本人が「まだ日本の生活や言葉に慣れていなくて不安だから、もう少し時間をかけてステップアップしたい…」と慎重になっていることもあります。

採用を決める前の段階で、「希望する勤務時間」「住まい」「勉強する時間の確保」
「将来の目標(介護福祉士を目指したい等)」といった具体的なポイントをあらかじめしっかり聞いておくことが、入職した後の「こんなはずじゃなかった…」というお互いのズレを減らすことができます。

採用前に決めておきたい受け入れ準備

特定技能「介護」の試験を確認した後は、施設側の受け入れ準備を決めていきます。
設側の受け入れ準備が曖昧なままで採用してしまうと、
どれだけ試験を優秀な成績でクリアしたスタッフであっても、
現場で本来の力を発揮できなくなってしまいます。

キズナキャリア編集部では、外国人スタッフの採用を考えるとき、
「制度名」や「試験の合否(点数)」で判断するのではなく、
入社後の具体的な「自施設で働くイメージのすり合わせ」が大切だと考えています。

「入職初月に任せる業務」、「日本語で確認したい場面」、「教育担当と副担当」、
「生活支援の範囲」、「3か月後・6か月後に任せたい業務」など入社後の設計図を、
事前に作っておくことが重要です。

採用前チェック項目

採用前には、次の項目を確認します。

  • 介護技能評価試験の合格状況
  • 介護日本語評価試験の合格状況
  • JFT-BasicまたはJLPT N4以上の確認
  • 試験免除の有無と根拠資料
  • 初月に任せる業務
  • 介護記録の確認者
  • 申し送りで本人が話す範囲
  • 教育担当と副担当
  • 生活支援の担当範囲
  • 3か月後・6か月後の業務目標

管理者がこれらの項目をあらかじめ決めないまま現場に配属してしまうと、
現場の既存スタッフが「今日、この人に何を頼めばいいの?」
「どこまで任せて大丈夫?」と、その場その場で対応を考えなければならなくなってしまいます。

これは、新しく入った外国人スタッフの能力ややる気の問題ではなく、
「受け入れる施設側の準備・設計」の問題として見ておきたい部分です。

夜勤・訪問介護へ進む前の確認

「夜勤」や「訪問介護」といった業務は、どれだけ優秀な成績で試験に合格している外国人スタッフであっても、入職してすぐに任せるのは避けたほうが安心です。

これらの業務は、「一人で判断して対応しなければならない場面」が多く、
まだ日本の現場や職場環境に慣れていない新メンバーにとっては、
想像以上にハードルが高く危険も伴うからです。

夜勤の仕事は、「利用者様のどこを観察する(異変に気づく)か」
「何かあった時に誰へ連絡するか」「どの記録をどう残すか」
という重要なポイントを正しく理解していなければ務まりません。

外国人スタッフを夜勤に配置する場合は、一飛びに任せるのではなく、
日勤→遅番→同行夜勤→見守り範囲の拡大と、段階を踏んでステップアップしていく方法が現実的で安心です。

訪問系サービスでは、外国人スタッフが一人対応する場面が多くなります。
技能実習生や特定技能外国人が訪問系サービスへ従事する場合の条件は、
厚生労働省の外国人介護人材の訪問系サービスへの従事に関する案内で最新情報を確認してから進めましょう。

外国人介護士の訪問系サービスの従事について・キズナキャリア

よくある失敗

よくある失敗は、「試験に合格しているから現場もすぐ任せられる」と考えてしまうことです。

介護技能評価試験は介護の土台、介護日本語評価試験では介護現場の日本語、
JFT-BasicやJLPT N4以上は日常生活の日本語をそれぞれ見ることができます。
どれも外国人介護人材の採用には役立つ材料ですが、
自施設の記録ルール、利用者対応、夜勤報告まで保証しているものではありません。

採用した後に「教育担当者だけに負担が集中してしまう」という事態を防ぐには、
採用を決める前に「任せる業務の範囲」と「教育のスケジュール」をあらかじめ決めておくことが大切です。

事前に計画を立てておくことで、外国人スタッフは「何を覚えればよいか」を理解でき、
既存スタッフも「どこまで任せてよいか」が共有できるため、
どちらも安心してスタートを切ることができるようになります。

まとめ

特定技能「介護」は、以下の試験などを通じてそれぞれの力を確認しています。

  • 介護技能評価試験、
  • 介護日本語評価試験、
  • JFT-BasicまたはJLPT N4以上

試験ごとに見ている力が違うため、合格の有無だけでなく、
自施設の現場で任せる業務へつなげて考えることが大切です。

採用を決める前に見ておきたいのは、

  • 入職初月に任せる業務、
  • 日本語で確認したい場面、
  • 教育担当と副担当、
  • 生活支援の範囲、
  • 3か月後・6か月後に任せたい業務

試験結果とこの5つを合わせると、
候補者の経験や日本語レベルを現場に近い言葉で考えられるようになります。

特定技能「介護」の試験合格者は、外国人介護人材の採用の有力な候補になります。
ただ、入職後に力を発揮してもらうには、費用、教育、生活支援、
定着面談まで含めた準備が必要です。候補者の条件を具体的に見ながら、
自社に合う受け入れ方を考えていきましょう。

よくある質問

特定技能「介護」で必要な試験は何ですか?

原則として、介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語試験としてJFT-BasicまたはJLPT N4以上が関係します。候補者の経歴によって試験免除の扱いがあるため、
採用前には厚生労働省の介護分野における特定技能外国人の受入れ案内で最新情報を確認しておきましょう。

介護技能評価試験では何を見ますか?

介護技能評価試験では、介護の基本、こころとからだのしくみ、
コミュニケーション技術、生活支援技術、実技課題に関わる判断などを見ます。
採用側では、候補者が介護業務の土台を学んでいるかを見る材料になります。
ただし、施設ごとの記録や利用者ごとのケアは、入職後に教える必要があります。

介護日本語評価試験とJLPT N4は何が違いますか?

介護日本語評価試験は、介護のことば、介護の会話・声かけ、介護の文書など、
介護現場で使う日本語を見ます。JLPT N4は、基本的な日本語をどの程度理解できるかを見る試験です。N4の水準は日本語能力試験の認定の目安で確認することができます。

JFT-Basicは特定技能「介護」で使えますか?

JFT-Basicは、特定技能1号の申請に使われる日本語試験の一つです。
日本の生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測ります。
詳しくは国際交流基金のJFT-Basic公式情報で確認することができます。
ただし、介護記録や申し送りに必要な日本語は、別に現場で見る必要があります。

試験に合格していれば介護記録を任せてもよいですか?

試験合格だけで、介護記録を一人で任せるかは決めないほうがよいです。
介護記録では、時間、状態、対応、報告先を短く正確に書く力が求められます。
初月は記録例や定型文を用意し、教育担当者が確認しながら任せる範囲を広げる方法が安心です。

特定技能「介護」の在留期間は何年ですか?

特定技能1号は、通算在留期間が原則5年以内です。
期間の扱いや所属機関を変更する場合の手続きは、制度情報を見ながら進める必要があります。最新情報は出入国在留管理庁の在留資格「特定技能」に関する案内で確認することができます。

記事の監修者

播征幸のアバター 播征幸 海外人材専門家

総合商社、外資系IT企業などで培った経験をもとに、外国人材支援を通じて企業の成長と持続可能な社会づくりに貢献しています。

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