育成就労制度は介護採用にどう影響する?施行時期・特定技能との接続・準備事項

外国人育成就労受入れ準備・キズナキャリア


深刻化する介護分野における人材不足
急な欠勤が出るたびに管理者が現場に飛び込み、
求人を出しても反応はさっぱり。
そんなギリギリの状態で日々現場を回している施設も少なくないはずです。

こうした人手不足を乗り越えるために、
「外国人介護人材の受け入れ」を本気で検討し始める法人が増えています。

ただ、いざ調べ始めてみると、
「技能実習がなくなって『育成就労』に変わるって本当?」
「結局、介護現場では何が変わるの?」
「特定技能とはどう違うの?いつから準備すればいいの?」
と、
ニュースや制度の言葉に難しさを感じて
手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。

「特定技能」や「育成就労」といった制度の名前やイメージだけで
スタートしてしまうのはちょっと危険です。

いざ働き始めてから
「費用はいくらかかる?」「日本語はどこまで通じる?」
「指導係はだれ?」「シフトはどう組む?」
という現実的な話が後回しになっていたことに
気づくケースが実はとても多いのです。

その結果、外国人スタッフが配属された初月から……
管理者や教育担当者に質問が殺到し、
申し送りや介護記録のチェックに時間がかかり、
既存スタッフの残業が増えてしまう、
という本末転倒なトラブルが起きてしまいます。

新しい「育成就労制度」のニュースを聞いて、
「結局、これまでの技能実習と何が違うの?
と感じている方も多いのではないでしょうか?

育成就労の本質は、
「3年間かけて、自施設で活躍する特定技能1号レベルのプロへ
大切に育てていくための新しいルート」です。

だからこそ、「制度がどう変わるか」だけでなく、
「うちの施設でどう受け入れ、どう育てていくか」
という現場の体制までセットで考える必要があります。

この記事を読み終わるころには、
制度変更に向けて法人本部や施設長が
「今、何を話し合って決めるべきなのか」が、
現場の言葉でくっきりと見えてくるはずです。

目次

育成就労制度の目的と受け入れの注意点

育成就労制度は、従来の技能実習を見直し、
「人材育成」と「人手不足の解消」の両立を目指して誕生する制度です。

この制度の準備を採用担当者だけで進めてしまうと、
いざ外国人スタッフを受け入れたときに
「誰が教えるのか」「シフトをどう組むか」といった実務が現場任せになり、
既存スタッフの負担が一気に大きくなってしまいます。

育成就労制度は令和9年4月1日から施行予定となっています。
介護分野での制度の概要は、
厚生労働省の介護分野における育成就労制度の案内
出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aで最新情報を確認することができます。

育成就労制度の概要・キズナキャリア

省庁の発行する最新情報に目を通しておくことで、
社内説明や受け入れ体制の検討をスムーズに進めることができます。

育成就労制度の開始時期はいつ?

育成就労制度は、令和6年6月に改正法が公布され、
令和9年4月1日に施行予定となっています。

つまり、2027年度以降の外国人介護人材の採用計画では、
これまでの「技能実習」だけを前提にした考え方から一歩進める必要があります。

施設長や管理者の方が意識すべきポイントは、
「制度がいつ始まるか」という日付だけではありません。

実際にスタッフを採用してから、日本の介護現場に慣れ、日勤業務、介護記録、
申し送り、そして夜勤を担当できるようになるまでには、当然時間がかかります。
制度がスタートしてから慌てて準備を始めるのでは、現場も本人もパンクしてしまいます。

今のうちから「どのフロアで、誰が、何をどう教えるのか」という
具体的な育て方まで考えておくことが大切です。

技能実習制度と育成就労制度の大きな違いは?

これまでの技能実習は、日本で学んだ技術を
母国に持ち帰ってもらう「国際貢献」を主な目的とした制度でした。

それに対して新しい「育成就労制度」は、
日本で3年間働きながら、特定技能1号レベルへと育てていく制度です。
単なる「母国への技術移転」から「自施設で長く活躍してもらうための育成」へと、
制度の目的そのものが大きく変わります。

介護現場の視点に置き換えると、
これまでの外国人スタッフを「一時的に受け入れる人」として見るのではなく、
「将来の施設を支える介護職員として育てる人」として迎える必要があります。

そのためにも、事前にしっかり決めておきたいのが
「成長のロードマップ」です。
目標があいまいなままだと、現場の既存スタッフが
「どこまで業務を任せていいんだろう?」と迷ってしまいます。

そうした迷いをなくすために、
「初月」「3か月後」「6か月後」にそれぞれ任せる業務を、
あらかじめ施設側で整理しておくことが重要です。

外国人介護人材・育成就労・キズナキャリア

育成就労制度における「業務区分と内容」は?

育成就労制度で外国人スタッフにお願いする業務は、
特定技能制度と同じく「介護」という枠組みになります。

主に担当するのは、利用者さんの状態に合わせた
入浴・食事・排泄のサポートといった「身体介護」です。
清掃やシーツ交換といった周辺業務だけでなく、
現場の直接的なケアを担ってもらうための制度設計になっています。

ただ、お風呂の入れ方や手順だけを覚えれば十分、というわけではありません。
嫌がる表情に応じた声かけや、発熱時の看護職への報告、
食事量の変化を伝える申し送りなど「変化に気づき、チームへ繋ぐ力」
まで指導することが求められます。

あわせて大切なのが、教育担当者同士で「どこまでできればOKとするか」
評価基準をそろえておくことです。教える側の評価の目線をそろえておくことで、
本人も安心してステップアップすることができます。

育成就労・特定技能1号への接続を意識した採用計画

育成就労制度は、
特定技能1号への移行を見据えた「長期的な育成ルート」です。

将来のつながりを考えずに採用してしまうと、
3年が経ったころに「試験対策」「ビザの更新」「人員配置」「本人の希望条件」
といった課題が一気に押し寄せてきてパニックになってしまいます。

大切なのは、入職時点の人数の穴埋めだけでなく
「3年後にどこまで任せたいか」から逆算して採用条件を決めることです。

夜勤やご家族対応、後輩指導まで見据えるのか、
日勤の身体介護を中心に育てるのか。
ゴールを明確にすることで、
採用時に必要な日本語能力や経験の基準がハッキリ見えてきます。

育成就労制度及び特定技能介護・キズナキャリア

特定技能1号の基本概要と要件とは?

特定技能1号」は、特に人手不足が深刻な分野で、
一定の知識や経験を持った外国人スタッフを受け入れるための在留資格です。

介護分野でこの資格をとるには、

  • 介護の知識や技術を測る「介護技能評価試験」
  • 介護現場で使う言葉を測る「介護日本語評価試験」
  • 日常生活の会話力を測る「日本語能力試験(N4以上など)」

という3つのテストをクリアする必要があります。

介護分野の特定技能については、
厚生労働省の介護分野における特定技能外国人の受入れ案内
試験や対象施設、協議会の情報が案内されています。

外国人特定技能介護・要件・キズナキャリア

外国人介護人材を採用する際、在留資格の名称だけで判断してしまうと
現場でギャップが生まれやすくなります。

採用担当者としては、「特定技能」という在留資格の名称だけを見るのではなく、
「どんな試験をクリアしてきているか」、「これまでの介護現場での担当業務」など、
もう一歩踏み込んで確認しておきたいところです。

資格名という表面的なラベルだけでなく、
「具体的なスキル」と「実際の経験」までしっかりと見極めることが、
ミスマッチを防ぐ一番のポイントです。

それぞれの役割と目的・5つの制度ごとの違い

育成就労、特定技能、技能実習、EPA、在留資格「介護」。
名前がたくさんあって混乱してしまいますが、
それぞれ「受け入れる目的」がまったく異なります。

たとえば、EPAは二国間の経済連携協定に基づき、
将来の「介護福祉士候補者」を受け入れる仕組みです。
一方、在留資格「介護」は、すでに日本の国家資格である
「介護福祉士」を取得した外国人が、プロとして介護業務に就くための資格です。

それぞれの目的や前提の違いを正しく理解しておくことが、
自施設に合った採用ルートを選ぶ第一歩になります。

スクロールできます
制度主な目的介護施設での見方注意点
育成就労人材育成と人材確保3年間で特定技能1号水準へ育てる教育計画、日本語学習、転籍、生活支援まで見る
特定技能1号一定の技能を持つ人材の受け入れ即戦力に近い人材として検討しやすい支援義務、在留期間、協議会、訪問系の条件を確認する
技能実習技能等の修得を通じた国際貢献経過措置を見ながら扱う既存制度育成就労への移行時期を踏まえる
EPA協定にもとづく候補者受け入れ介護福祉士候補者を育てるルート国、枠、学習支援の仕組みを別に見る
在留資格「介護」介護福祉士としての就労国家資格取得後の長期就労ルート資格取得までの学習支援が関係する

これまで介護分野で使われてきた受け入れ制度は、
厚生労働省の外国人介護人材の受入れ案内でも確認することができます。

外国人介護人材受け入れの仕組み・キズナキャリア

複数の事業所を持つ法人で外国人採用を進める際、
制度の名称や枠組みに囚われてしまうと現場との温度差が開きやすくなります。

大切なのは、「どの制度を使うか」の前に
「どの事業所に受け入れ・教育の余裕(体制)があるか」を把握することです。
教育担当者の配置や現場の理解度が高い事業所から優先的に受け入れを進めることで、
本部と現場が連携して採用・育成に取り組めるようになります。

育成就労制度の転籍要件と定着リスク

育成就労制度では、一定の条件を満たせば、
外国人スタッフ本人の希望による
「転籍(別の施設への転職)」が認められるようになります。

介護分野で転籍をするには、
「必要な介護スキル」や「一定の日本語能力」をクリアしていることが条件です。
また、転職の制限期間については、当面の間
「同じ施設で2年間働くこと」がルールとして定められています。

「2年間は転籍できない」と聞くと、施設側としては
「簡単には辞められない制度なんだ」と少し安心したくなるかもしれませんが、
外国人スタッフが「ここで長く働きたい」と思う理由は、
決して制度のルールだけでは作れません。

介護施設が見るべき費用・「採用コスト」だけで判断しない

育成就労制度で介護スタッフを採用するとき、
「一人あたりの採用手数料」といった
見た目の金額だけで判断しないことが重要です。

実際には、採用したあとも以下のような費用やコストがかかってきます。

  • 外部への「支援費・管理費」
  • 住む場所を整える「家賃・住居の準備費用」
  • 生活用品をそろえる「立ち上げ費用」
  • 継続して学ぶための「日本語学習のサポート費」
  • 現場でゼロから教える「既存スタッフの教育コスト(時間)」

「初期費用が安いから」と決めてしまうと、後から隠れたコストがかさみ、
「思っていたより費用も現場の負担も重い…」と後悔することになりかねません。

採用にかかる費用は、準備から教育までを含めた
「トータルコスト」でしっかり見積もっておくことが大切です。

現場の管理者が、突発的な欠勤の穴埋めに入りながら、
同時に「来日したばかりの外国人スタッフの生活相談」や
「介護記録のチェック」まで一人で抱え込んでしまうと、
しわ寄せは現場に行き、既存スタッフの残業が増えたり、
疲労が溜まったりする原因になってしまいます。

受け入れにかかる費用を考えるときは、目に見える請求額だけでなく、
「現場の教育担当者や管理者が割く時間」も考慮に入れることが不可欠です。
負担を1人に集中させない仕組みづくりをセットで考えましょう。

採用前コストの見方「戦力化までの時間」もセットで考える

採用が決まるまでの間にも、募集活動や選考、面接の調整、
ビザ(在留資格)の手続き、現地送り出し機関への費用など、
さまざまなコストがかかってきます。

こうした費用は、相手の国や委託するサポート会社、
契約内容によって大きく金額が変わってきます。

そのため、ネットの一般的な平均相場だけで社内稟議を作ってしまうと、
後から実際の請求額とのギャップに困ることになりかねません。
必ず具体的な見積もりを取り寄せたうえで予算を組むようにしましょう。

採用費用を計算する際は、
「1人あたりの採用単価」だけで見ないことが大切です。

施設として本当に必要なのは、
「採用費用」+「戦力化するまでの教育期間」をセットにした計画です。

  • 初月:日勤帯で先輩スタッフに同行
  • 2か月目:一部の身体介護をスタート
  • 3か月目:介護記録の一部入力を担当

このように「一人前になるまでの期間」
あらかじめロードマップとして組み込んでおきましょう。

戦力化までの道のりが見える化されていると、
法人本部や経営層に対しても「なぜこの予算と時間が必要なのか」
が論理的に説明しやすくなり、稟議もスムーズに進みます。

採用後にかかる費用「採用後の生活・就労支援」

外国人スタッフを採用したあとも、
実はさまざまな準備やサポートが必要になってきます。

具体的には、住む場所の準備や生活の立ち上げ、日本語の勉強、定期的な面談、
通訳・翻訳の手配、外部への支援委託、そして現場での教育時間などです。

「特定技能1号」では、
受け入れる施設がサポート計画を立て、外国人スタッフが仕事面だけでなく、
日々の生活や日本の社会になじめるよう支援する仕組みが義務づけられています。
「採用して終わり」ではなく、生活面と業務面の両方で支えていく姿勢が大切です。

特定技能人材受入支援計画概要-・キズナキャリア.j

来日直後の外国人スタッフは、仕事以上に
「日本の生活ルール」で多くの疑問や不安を抱えています。
銀行口座や携帯の手続き、通勤経路、役所への届出、
さらには地域のゴミ出しルールまで・・・
質問がすべて管理者に集中してしまうケースも珍しくありません。

管理者の負担を減らし、外国人スタッフ本人にも早く安心してもらうためには、
生活面のフォローを自施設のチームで分担するか、
外部サポート(支援機関)を活用するのかの仕組みづくりが欠かせません。

費用を先に見ておきたい場合は、
料金表ダウンロードページで採用前後にかかる費用の考え方を確認することができます。

離職時のやり直しコスト「入職前のミスマッチ防止」

意外と見落とされがちなのが、採用した外国人スタッフが
途中で辞めてしまったときの「やり直しにかかるコスト」です。

早期離職が起きると、もう一度求人を出して
採用し直す費用がかかるだけではありません。
これまで費やした教育時間がやり直しになるだけでなく、
シフト調整や穴埋めによる既存職員の疲労蓄積は避けられません。

たとえば、3か月かけて「介護記録の書き方」を
ていねいに教えた外国人スタッフが退職してしまうと、
次の新人にもう一度同じ教育をゼロからやり直さなければなりません。

本当の意味で受け入れ費用を抑えるには、
単に「手数料が安い採用ルート」を探すだけでは不十分です。

外国人スタッフの入職前の段階で
「本人の希望条件」「勤務地」「夜勤への認識」「将来の働き方」
まで丁寧にすり合わせることがとても大切です。

ミスマッチによる早期離職を防ぐことが、
結果として最も費用と現場の負担を抑える方法になります。

場面によって変わる「介護現場の実践日本語力」

介護の育成就労でスタッフを迎えるとき、日本語のレベルを
「試験の名前や合格証」だけで判断しないことが大切です。

「申し送り」「介護記録」「利用者対応」「緊急時報告」など、
介護現場では場面ごとに求められる日本語が異なります。

「利用者の『胸が苦しい』という小さな訴えを聞き取れるか」
「夜勤中の事故発生時に、看護職や管理者へ短く事実を報告できるか」

こうした現場のリアルな場面で「正しく伝わるか・聞き取れるか」を
確認・フォローしていくことが、安全なケアと現場の安心につながります。

JLPT日本語能力試験と日本語教育の参照枠とは?

JLPTは、日本語能力試験のことです。
N4は基本的な日本語をある程度理解できる水準、
N3は日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる水準を指します。

JLPT日本語能力試験目安・キズナキャリア

介護の育成就労制度では、日本語のレベルを表す指標として
「A2.2相当以上」という基準が使われます。

難しそうな言葉に聞こえますが、これは
「日常的な業務で、基本的なやりとりがちゃんとできる強さ」を測るための目安です。

たとえば、 「相手の話すことにあわせて返答する 」
「自分の状況や欲しい支援を伝える 」「決まった指示を聞いて正しく動く」 といった、
現場でスムーズにコミュニケーションをとるための土台となる
日本語力があるかどうかのポイントになります。

詳しい考え方は、
文化庁の日本語教育の参照枠に関する案内日本語能力試験の認定の目安で確認することができます。

日本語教育の参照枠・キズナキャリア.

申し送り・介護記録・利用者対応・現場で必要な日本語力

日本語レベルの評価は、実際の介護現場における
「具体的な場面」に置き換えて考えると理解しやすくなります。

スクロールできます
場面見るポイント施設側の準備
申し送り状態変化を短く聞き取れるか定型文、略語一覧、聞き返しルールを用意する
介護記録事実と感想を分けて書けるか記録例、よく使う表現、確認者を決める
利用者対応ゆっくりした会話で意図をつかめるか声かけ例、困ったときの呼び方を教える
緊急時報告いつ、どこで、誰が、どうしたかを伝えられるか報告メモ、連絡順、電話練習を行う
家族対応質問を受けたときに抱え込まないか家族説明を引き取る職員を決める

「N4」や「A2.2」という合格ラインをクリアしていても、
すぐに記録入力や夜勤を1人で任せられるとは限りません。

現場で重要になるのは、テストのレベルよりも実際のコミュニケーション力です。
教育担当者が「分からない時に聞き返せるか」
「知っている表現に言い換えられるか」「報告の順番が正しいか」を日々観察し、
成長に合わせて任せる範囲を少しずつ広げていく運用が欠かせません。

面接で見る会話力「現場を想定した実際の対応力」

外国人スタッフの面接では、資格の確認だけでなく
「現場の具体的な場面」を使った質問が効果的です。

たとえば「朝食を半分残した利用者さんの申し送り」を試すと、
状況を短く報告できる会話力が確かめられます。

また、「ご家族から状況を聞かれた場面」を設定すると、
自分で判断できないときに「確認して担当者に代わります」
と言えるかどうかが分かります。

無理に知ったか振りをせず、報告や確認ができる人柄かを見極めることが、
現場でのトラブルや事故を防ぐ鍵になります。

専門家の声(播 征幸)


介護施設で働く外国人労働者の採用のポイントは、もちろん語学力が必須ではありますが、面接の際にその人材の伸びしろを見極めることも肝要かと思います。外国人材の中には、日本で働く為に需要が高い介護を選んで受験する人も多々おります。この場合はどれほど日本語が出来ても介護施設で将来長く働く可能性は低いです。
まずは、その人材が介護で働く意思、モチベーションを確認する事が外国人材採用のポイントだと思います。

夜勤・訪問介護「シフト設計の前に必要なこと」

介護の育成就労スタッフを迎えるとき、
最初から「夜勤や訪問介護に入ってもらうこと」を前提に
シフトを組むのは避けたいところです。

「制度上、夜勤に入らせても問題ない」という理由だけで配置を決めてしまうと、
1人で判断しなければならない場面や緊急時の報告で、
本人だけでなく一緒に入るペアのスタッフにも大きな負担がかかってしまいます。

シフトを組む前に、「どの場面で助けを呼ぶか」「誰が最終判断をするのか」
というフォロー体制を明確にしておくことが不可欠です。

特に夜勤中の転倒や発熱といった急変時に、
報告の遅れから対応が後手に回らないよう、
安全な受け皿を作ったうえで段階的に任せていきましょう。

夜勤配置の見方「段階的育成のロードマップ」

育成就労の外国人スタッフに、夜勤や少人数での勤務、
緊急時の対応が発生する業務を任せる際は、
利用者の安全を守るための特別な措置が求められています。

しかし、これは「制度上の基準を満たしていればOK」
というだけの話ではありません。

大切なのは、「現場でトラブルが起きたとき、誰が・どう動くか」
という連絡体制まで具体的に作っておくことです。

  • 夜勤中に利用者の体調が急変したら、誰に一番に連絡するのか
  • 一人での判断が難しいとき、すぐに相談できる先輩や管理者がいるか

制度のルールをクリアすること以上に、現場でパニックにならない
「連絡とフォローの仕組み」を整えることが必要です。

排せつ介助や巡視の手順を把握していても、転倒や体調急変、
センサー反応への対応には、より高度な判断と連携が求められます。

夜勤への配置は段階的なステップを踏むことが何より大切です。
まずは日勤帯で記録と申し送りを確実にできるようにし、
次に遅番や準夜勤で夜間のフロアの流れや動きを把握する。

そのうえで夜勤へ移行するフローをつくることで、
本人・既存職員の双方にとって負担が少なく、安全な受け入れが実現します。

訪問介護への配置「事前に必要な要件と準備」

1人で利用者宅を訪問する機会が多い「訪問系サービス」では、
外国人材の受け入れに特別な配慮と環境整備が必要です。

制度上も、初任者研修の修了実務経験といった要件をはじめ、
事前の研修先輩スタッフの同行キャリアアップ計画の策定
相談窓口や緊急時対応の体制整備などが求められます。

「育成就労制度」でも、訪問介護などの訪問系サービスに入ってもらう場合は、
これまでの制度と同じように丁寧な備えが必要になります。

研修の実施、先輩の同行訪問、キャリアアップ計画の作成、相談窓口の用意、
そして緊急時の連絡体制の整備
が欠かせません。

訪問介護では、利用者宅で急な体調変化が起きたり、
ご家族から想定外の質問をされたりすることがあります。
そうした場面で、スタッフが「一人で抱え込んで判断に迷う」ことがないよう、
「すぐに連絡・相談できて、事業所側が指示を引き取れる仕組み」
をあらかじめ作っておくことが何より大切です。

外国人介護スタッフの訪問系サービスへの配置に関する詳しい条件は、
厚生労働省の外国人介護人材の訪問系サービスへの従事に関する案内で確認することができます。

外国人介護士の訪問系サービスの従事について・キズナキャリア

「指導体制」に合わせた適正な受入人数とは?

介護の現場で外国人スタッフを迎えるとき、何人まで受け入れられるかは
「日本人の常勤スタッフが何人いるか」
「しっかり指導できる体制があるか」によって決まります。

指導体制が整わないまま外国人スタッフの人数だけを増やすと、
既存のスタッフに通常業務と教育の重圧が同時にかかり、
教え方が日によって変わるといった混乱が生じます。

施設側の「指導できる余裕」に合わせて、
無理のない人数から段階的に受け入れていくことが大切です。

教育担当者への負担の軽減と外国人スタッフの定着には、
教育体制(相談窓口)の役割分担が効果的です。

「主担当」「副担当」「生活相談窓口」を分け、
初日の段階で「介護技術」「記録」「生活相談」のそれぞれについて、
誰に質問すべきかを外国人スタッフに伝えておきます。

聞き先が明確になっていると、外国人スタッフも遠慮せずに質問できるようになり、
既存職員の特定個人への負担集中や入職初月の現場の混乱を防ぐことができます。

「制度の名前」を覚える前に決めたい現場のルール

育成就労制度への備えで最も重要なのは、制度の名称や仕組みの理解以上に
「現場の受け入れ条件」を明確にしておくことです。

教育の順序や運用の条件が決まっていないまま採用を始めると、
特定の指導担当者に質問が集中し、新人も既存職員も
「次目指すべきステップ」を見失ってしまいます。

準備の第一歩として、まずは現場で「何を・いつまでに・誰が教えるか」
の整理から始めることをおすすめします。

キズナキャリア編集部では、外国人介護スタッフの採用を検討する際、
難しい制度の名前よりも先に「5つの採用判断軸」を整えることをおすすめしています。

  • 初月に任せる業務(最初に覚えてもらう仕事は何か)
  • 日本語で確認したい場面(実際の業務で伝わるか試すシーン)
  • 教育担当と副担当(現場で教える役割分担)
  • 生活支援の範囲(どこまで生活立ち上げを手伝うか)
  • 3か月後・6か月後に任せたい業務(中長期で目指すステップ)

この5つをはじめに決めておくことで、採用後の「こんなはずじゃなかった」を防ぎ、
本人も現場のスタッフも迷わず成長できる環境が整います。

指導のズレを防ぐ!「任せること・任せないこと」の共有

入職したばかりの初月からたくさんの業務を任せすぎると、
外国人スタッフは何から手を付ければよいか分からずパニックになってしまいます。

まずは焦らず、「最初に覚えてもらうこと」
を最小限の基本業務だけに絞るのが現実的です。

「利用者の名前」「フロアのルール」「移乗・食事介助の手順」
「記録様式」「報告手順」といった必須の基礎知識から優先して伝えることで、
本人が迷わず確実にスキルを習得できる環境を整えましょう。

管理者が最初にやっておきたい大切な仕事が、
「今月はこの業務を任せる」「まだ任せない」という切り分けを、
既存のスタッフ全員に伝えておく
ことです。

この基準が共有されていないと、
「ある職員は記録入力を指示し、別の職員は禁止する」
といった指導のブレが発生し、
外国人スタッフが大きな困惑を抱えることになります。

チーム全体で「いま教えているステップ」の認識をそろえておくことが、
外国人スタッフのスムーズな育成につながります。

教育担当を一人に絞らない!「チームで育てる」仕組み作り

指導担当者を特定の一人だけに固定してしまうと、
その職員が休みの日に「今日、誰に相談したらいいかわからない…」
と新人スタッフが放置されてしまいます。

そうした事態を防ぐには、「主担当」と「副担当」をセットで置き、
相談の窓口を内容ごとに分けておくことが効果的です。

  • 身体介護の相談 ➔ 主担当へ
  • 介護記録の相談 ➔ 副担当へ
  • 日本の生活の相談 ➔ 生活相談の窓口へ

役割を分担しておけば、特定の指導員に負担が集中する「教え方の属人化」を防ぎ、
誰が休みの日でもスムーズにフォローできる環境が整います。

外国人採用でよくある失敗が、「理解のある、面倒見の良い職員」
にすべてのフォローを任せてしまうことです。

最初はうまく回っているように見えても、
日々の業務に加えて「質問対応」「生活相談」「介護記録のチェック」「定期面談」
などが積み重なると、その職員ひとりに膨大な負担がかかってしまいます。

法人本部や施設長に求められるのは、
指導やサポートを「個人の優しさや善意」に頼らないことです。
「教える・話を聞く」というフォローもしっかりとした
「勤務時間内の大切な業務」として位置づけ、
必要な時間をシフトの中で確保してあげる姿勢が欠かせません。

ミスマッチを防ぐ!「求職者一人ひとりの条件」に向き合う面接

外国人材採用のミスマッチを防ぐ鍵は、制度の枠組みだけでなく
「候補者個人のバックグラウンドと希望条件」をすり合わせることにあります。

「介護の経験」「日本語レベル」「夜勤に対する意向」「勤務地の希望」
「将来目指したい在留資格(特定技能や介護福祉士への移行の希望」
まで掘り下げて確認しましょう。

お互いの前提をそろえておくことで、自社が求めるターゲット像が明確になり、
入職後のミスマッチや早期離職を大幅に減らすことができます。

制度を理解しても、「自社に合う人材がいるか」は別の問題です。
日本語レベルや介護経験を見ながら考えたい場合は、
人材スカウト画面で候補者の条件を確認することができます。

まとめ

育成就労制度は、介護分野の採用を
「採って終わり」から「育てて特定技能へつなぐ」形へと
ステップアップさせる仕組みです。

令和9年4月1日の施行を待つのではなく、
今の段階から「教育担当の配置」「業務範囲の設定」
「現場での日本語確認」「費用の把握」「生活支援体制」
を検討しておくことが重要です。

早い段階から現場の受け入れ体制を整えておくことが、
スムーズな制度移行と定着率向上につながります。

育成就労などの制度名に振り回されず、
自社の現場に本当に合った採用を進めるには、
選考の前に「5つの軸」を決めておくことが近道です。

3か月後・6か月後に任せたい業務(中長期で目指すステップ)
初月に任せる業務(最初に覚えてもらう基礎の仕事)
日本語で確認したい場面(実際の業務で伝わるか試すシーン)
教育担当と副担当(現場で教える役割分担)
生活支援の範囲(どこまで生活立ち上げを手伝うか)

ここまで自社のルールを事前にしっかり決めておけば、
「制度の名前」だけに引っ張られることなく、
自施設や現場に合った採用ルート(育成就労か特定技能かなど)
を選べるようになります。

次に着手すべきは、最新の公式情報をチェックしつつ
「自社の現場条件」を言語化することです。

「費用」「日本語」「教育」「定着」のうち、
自社がどこに最大の不安を抱えているのかを事前にクリアにしておきましょう。

自社課題を把握した上で選考・面接に臨むことで、候補者との認識のズレを防ぎ、
現場にフィットする人材の獲得と定着につながります。

よくある質問

育成就労制度は介護分野でいつから始まりますか?

育成就労制度は、令和9年4月1日から施行予定です。
介護分野でも、技能実習制度を発展的に解消し、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育てる制度として案内されています。
最新の施行情報は、出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aで確認しておきましょう。

育成就労制度と技能実習は何が違いますか?

技能実習は、技能等の修得を通じた国際貢献を目的とする制度でした。
育成就労制度は、人手不足分野で人材を育成し、特定技能1号へつなげることを目的としています。介護施設では、短期の人員補充ではなく、3年間でどの業務まで育てるかを考えて受け入れる必要があります。

育成就労の外国人介護人材は夜勤に入れますか?

夜勤が一律に不可という決まりはありません。
ただし、育成就労外国人に夜勤や少人数での業務、
緊急時対応が求められる業務を行わせる場合は、
利用者の安全確保等に必要な措置が求められます。
夜勤開始前に、転倒、発熱、急変時の報告先、記録方法、
電話連絡の練習まで行うことが現場では欠かせません。

訪問介護で育成就労の外国人介護人材を受け入れられますか?

訪問介護等に従事させる場合は、介護職員初任者研修課程等の修了、
実務経験等、研修、一定期間の同行、キャリアアップ計画、相談窓口、
緊急時対応の環境整備などが義務つけられています。
訪問系サービスは一人対応の場面が多いため、利用者や家族への説明、
責任者への連絡方法、記録確認の流れまで決めておく必要があります。

N4やA2.2相当なら介護記録を任せてもよいですか?

N4やA2.2相当は、日本語力を見る目安にはなります。
ただし、介護記録を任せられるかは、試験水準だけでは決めきれません。
事実と感想を分けて書けるか、略語を理解できるか、
状態変化を短く書けるかを、実際の記録例で確認する必要があります。

特定技能1号の外国人介護士は何年働けますか?

特定技能1号で在留できる期間は、通算で原則5年以内です。
育成就労から特定技能1号へ移行する流れを考える場合、育成期間中から
技能試験、日本語、本人のキャリア希望を確認しておく必要があります。
特定技能の在留期間や支援計画は、出入国在留管理庁の特定技能制度の案内で最新情報を見ておくとよいでしょう。

記事の監修者

播征幸のアバター 播征幸 海外人材専門家

総合商社、外資系IT企業などで培った経験をもとに、外国人材支援を通じて企業の成長と持続可能な社会づくりに貢献しています。

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