外国人介護職員の日本語力|N4要件と介護記録・申し送りの見方

「人が足りない」悲鳴が上がる介護の現場。
シフトが埋まらない、求人を出しても応募が増えない。
そんな中で、新たに外国人介護スタッフの採用を検討し始めたとき、
一番最初に頭に浮かぶのは「日本語は大丈夫かな?」という不安ではないでしょうか。
利用者への声かけをはじめ、申し送りでの状態変化の共有、
介護記録の作成など、現場でスムーズにやり取りできるかは重要なポイントです。
「制度上の要件を満たしているから」とそのまま採用してしまうと、
外国人スタッフの配属後に、教育担当者へ質問が集中してしまい
記録のチェックや日常のフォローに時間を取られ、
現場の負担が増えてしまうケースも珍しくありません。
「利用者さんとちゃんとおしゃべりできるかな」
「申し送りで体調の変化を伝えられるかな」
「介護記録を任せても大丈夫かな」と、心配事は尽きませんよね。
外国人スタッフの日本語力について考える際は、
「制度上の日本語要件」と「現場で必要な日本語」を分けて考えることが必要です。
採用面接の際は、単に「N4レベルを持っているか」を確認するだけでなく、
実際の業務に当てはめてみるということが必要です。
たとえば、初月に任せる仕事内容、申し送りで確認したいシチュエーション、
夜勤や訪問サービスに入る際の連絡方法まで事前に整理しておくと、
採用後の双方のギャップを防ぐことができます。
この記事を読み終える頃には、特定技能介護の日本語要件や
「N4・N3」の捉え方はもちろん、現場の記録・利用者対応で確かめたいポイント、
さらに採用前に施設側で決めておくべきことが、
具体的にイメージできるようになります。
外国人介護職員の日本語で最初に見るべきポイントは?
外国人スタッフの日本語力は、「試験に受かっているか」だけでなく、
「利用者への声かけや、介護記録の作成など、実際の業務でどこまで話せるか」
まで見ることが大切です。
この基準をあらかじめ決めておかないと、現場のスタッフが
「どこまでの業務を任せてよいか」の判断に迷ってしまいます。
結果として、申し送りや記録確認のやり取りに想定以上の
時間がかかってしまう原因になります。
施設長が最初におさえておきたいのは、制度上の名称ではなく
「入職後の具体策(どの業務を任せるか)」です。
たとえば、早番での起床介助、食事や排せつの介助、介護記録の入力、
利用者のご家族からの質問対応など、仕事の場面によって必要となる
日本語のレベルや種類は大きく異なります。
制度上の日本語要件と現場で必要とされる日本語の違い
制度上の日本語要件は、在留資格をとって働くための「入口」です。
それに対して現場の日本語は、「その人にどんな業務を任せられるか」を
判断するための大切な基準となります。
特定技能(介護)の場合、日常会話のレベルを見る「日本語能力試験(N4以上)」
や「国際交流基金日本語基礎テスト」に加えて、
介護の現場で必要な言葉を測る「介護日本語評価試験」のクリアが求められます。
制度の概要は、厚生労働省の介護分野における特定技能外国人の受入れ案内で最新情報を確認することができます。

ただ、N4に受かっているからといって、すぐにご家族への対応や、
夜勤中の緊急報告まで一人で任せられるわけではありません。
試験で試されるのは、あくまで「基本的な読む力・聞く力」です。
介護の現場では、「とっさの時に短い言葉で正確に伝える力」も必要になってきます。
外国人スタッフ入職初月に任せる業務
キズナキャリア編集部では、外国人介護人材の採用時に、
制度名より先に次の5つを見ることを勧めています。
| 採用前に見る項目 | 現場で考えること |
|---|---|
| 初月に任せたい業務 | 食事介助、環境整備、見守り、簡単な記録など |
| 面接時に日本語で確認したい場面 | 申し送り、利用者への声かけ、体調変化の報告 |
| 教育担当と副担当の配置 | 誰が教え、誰が不在時に答えるか |
| 生活支援の範囲 | 住居、通勤、行政手続き、相談先 |
| 3か月後・6か月後に任せたい業務 | 記録、夜勤補助、担当利用者の増加など |
あらかじめ管理者がこの5項目を整理しておくと、
面接で確認すべきポイントが明確になります。
単に「日本語はどのくらい話せますか?」と聞くのではなく、
「転倒などのトラブルが起きた際、誰に何を報告しますか?」と、
実際の現場をイメージした具体的な質問ができるようになります。
日本語力を業務に置き換えて見ること
介護の現場で求められるのは、流ちょうに日本語を話す力だけではありません。
「短い言葉で事実を正確に伝える力」
「分からないときに聞き返す力」
「自己判断せずにすぐ相談する力」——こうしたやり取りができるかどうかも、
現場で大切になる日本語力(コミュニケーション力)です。
たとえば、申し送りで「昨日よりご飯の量が少ない」「右足を痛がっている」
「夜に2回トイレに行った」といったポイントを伝えられるか。
介護記録で「14時、お部屋で転倒。右ひざに赤みあり。看護師へ報告」と、
事実を短くわかりやすく書けるか。
ここまで具体的にチェックしておくと、外国人スタッフを採用したあとに
「何を教えればいいか」という教育のプランも立てやすくなります。
介護分野の外国人材受入制度と日本語要件の違いについて
外国人スタッフを受け入れる制度(ルート)は、制度ごとに「目的」も
「求められる日本語レベル」も異なります。
この違いをしっかり確認しないまま採用を進めてしまうと、
「本当はこんな仕事をお願いしたかったのに、制度のルール上できない…」
といったズレが生じて、管理者が現場の調整に追われる原因になってしまいます。
介護分野で外国人スタッフを迎える主なルートには、
「特定技能」「技能実習」「EPA」「在留資格『介護』」の4つがあります。
制度全体の仕組みや詳しいルールについては、
厚生労働省の外国人介護人材の受入れ案内で確認することができます。

特定技能(介護)の基本概要と要件
特定技能は、人手不足に悩む分野において、
一定のスキルと日本語能力を備えた外国人材を受け入れるための在留資格です。
介護の分野においては、食事や入浴などの「身体介護」をはじめ、
それに付随するサポート業務を任せる一般的なルートとして活用されています。
特定技能1号で働ける期間には、通算で「最長5年」という上限が決められています。
在留期間のルールや、受け入れ施設に求められる支援のやり方は変更されることもあるため、
出入国在留管理庁の特定技能制度案内で最新情報を見ておくとよいでしょう。

採用の際に理解しておきたいのは、
特定技能が「最初からすべての業務をこなせる即戦力」を意味するわけではないという点です。
本人にどれだけ介護経験があっても、施設ごとの記録様式やナースコール対応、
フロア独自のルールなどは、入職後に新しく覚えてもらう必要があります。
技能実習・EPA・在留資格「介護」の基本
技能実習は、日本で技能を身につけることを目的とする制度です。
介護職種には固有の要件があり、日本語や講習については
外国人技能実習機構の介護職種に関する案内で確認することができます。
なお、技能実習制度は、2027年4月1日(2027年春)より「育成就労制度」へ移行される予定です。

EPAは、経済連携協定にもとづいて外国人介護福祉士候補者を受け入れる仕組みです。
介護福祉士国家試験を目指す流れがあり、採用というよりも候補者の育成や学習支援を含めて考える制度です。

在留資格「介護」は、『介護福祉士の資格を持つ外国人』が介護業務に従事するための在留資格です。扱いは出入国在留管理庁の在留資格「介護」の案内で確認することができます。

外国人介護人材・受け入れ制度ごとの見るべきポイントとは?
制度名だけを確認しても、現場で必要とされる具体的な日本語力までは見えてきません。
現場の教育担当者が困惑する最大の理由は、制度の違いそのものよりも、
「どの業務をいつから任せるか」というスケジュールや範囲が曖昧なまま配属されてしまう点にあります。
| 受け入れルート | 見るべきポイント | 現場での注意点 |
|---|---|---|
| 特定技能 | 技能試験、日本語要件、支援計画 | 即戦力と見すぎず、初月の業務を絞る |
| 技能実習 | 実習計画、講習、日本語要件 | 教える内容と評価の流れを明確にする |
| EPA | 介護福祉士候補者としての学習 | 勤務と試験学習の両立を支える |
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士資格、在留手続き | 資格者でも施設独自の記録・申し送りは教える |
外国人介護士の日本語力・N4レベルの見方
「介護日本語のN4レベル」は、あくまで採用時の最低限の目安として捉えるのが適切です。
JLPTとは、日本語能力試験のことです。
N4は「日常のごく基本的な日本語を理解できるレベル」とされています。
これに対し、N3は「一般的な日常生活の中で使われる日本語をある程度理解できるレベル」と位置づけられています。公式の目安は、日本語能力試験のN1〜N5認定の目安で確認することができます。

日本語能力試験(JLPT)N4レベルでできること
日本語能力試験(JLPT)のN4とは、基本的な言葉や文法、
身近なテーマの読み書きが中心のレベルです。
これを介護の現場に当てはめると、「短い指示を聞く」「簡単な声かけをする」
「決まったパターンで報告する」といった、業務のスタートライン(入口)
として捉えるのが現実的です。
たとえば、「食堂へ行きましょう」「痛いところはありますか?」
「少し待ってくださいね」といった決められた声かけは、
事前の練習で身につけやすい部分です。
一方で、「利用者が方言で話す」「認知症の方が遠回しに気持ちを伝える」
「ご家族から次々と質問される」といった場面では、
N4レベルの日本語力だけでは対応が難しいこともあります。
日本語能力試験(JLPT)N3レベルでできること
日本語能力試験(JLPT)N3になると、N4よりも日常の会話や場面を
理解できるようになります。
ただし、「N3を持っているから」といって、介護記録や夜勤中の緊急報告を
すべて任せきりにしてしまうのは禁物です。
実際の現場では、発熱や食事量の低下、転倒、薬の拒否など、
すぐに報告しなければいけない場面がたくさんあります。
とりわけ夜勤時に看護職や管理者へ緊急連絡を行う際は、
「いつ」「どこで」「誰が」「どのような状態か」という重要なポイントを、
漏らさず的確に報告する力が必要です。
専門家の声(播 征幸)日本に来たばかりの外国人材の日本語能力は、N4だと「簡単な日常会話ができ、ひらがな・カタカナの読み書きができる程度」です。一方、N3へ到達すると「日常会話が問題なくこなせ、簡単な読み書きができるレベル」へと引き上がります。
来日後の学習意欲が高い人材であれば、個人差はあるものの、約3か月〜6か月でN4からN3レベルへ成長することが期待できます。
採用時に見ておきたい・業務別の日本語基準
採用時の面接では、資格試験の結果だけで判断せず、
実際の業務場面に応じた日本語力を確認することが重要です。
以下のチェック表を活用することで、面接や入職前の確認ポイントが明確になり、
より具体的な評価ができるようになります。
| 業務場面 | 採用時に見たい日本語 | 入職後の見守り |
|---|---|---|
| 利用者への声かけ | 短い文でゆっくり話せる | 利用者の反応を見て言い換えられるか |
| 申し送り | 食事量、排泄、睡眠、痛みを伝えられる | 状態変化を事実で話せるか |
| 介護記録 | 決まった様式で短く書ける | 主観と事実が混ざっていないか |
| 家族対応 | 分からない質問を職員へつなげる | 一人で抱え込まないか |
| 緊急時報告 | 時間、場所、状態、対応を言える | 転倒や発熱時に迷わず連絡できるか |
採用後のミスマッチを減らすには、制度名だけでなく候補者の経験や希望条件まで見ておきたいところです。日本語レベルや介護経験を見ながら考えたい場合は、
人材スカウト画面で候補者の条件を確認することができます。


介護記録・申し送り・利用者対応・場面別ごとの見方
外国人介護スタッフの日本語レベルは、「日常会話」「介護記録」「申し送り」という
場面別に分けて評価する必要があります。
これらを一つの「日本語力」として大雑把に捉えてしまうと、
「会話はスムーズだが記録に時間がかかる」
「記録は正確だが利用者の訴えを聞き取れない」といった
現場でのズレが生じる原因になります。
現場の教育係が最初に苦労するのが、毎日の「介護記録の確認」です。
これは外国人スタッフ本人の日本語力だけが原因ではなく、
施設独自の記録フォーマットや専門用語の略語がわかりにくいケースも少なくありません。
まずは施設側のルール整理や受け入れ態勢の整備を進めておくことが大切です。
介護記録のチェックポイント・短く正確に書く力
介護記録の対応でチェックしたいのは、難しい文章が書けるかではなく
「短く正確に事実を書けるか」です。
難しい表現を使う必要はなく、どのスタッフが読んでも同じ状況を
正しくイメージできる文章になっているかが何より大切です。
たとえば、「元気がなかった」とだけ書かれていても、
次に引き継ぐスタッフは何をすればいいのか判断に迷ってしまいます。
「昼食を半分残した」「右膝を押さえていた」「声かけには返事があった」のように、
実際に「見たこと」「聞いたこと」「対応したこと」をそのまま具体的に書けるかが
チェックをするポイントになります。
施設側で「よく使う記録の文例集」を用意しておくと、
外国人スタッフもスムーズに書き方を覚えられます。
食事や排泄、入浴、睡眠、痛み、転倒、発熱など、
外国人スタッフの入職後1か月でよく使う定型文を最初に渡しておくだけで、
現場で「これどう書けばいいですか?」と聞かれる回数がぐっと減り、
教育係の負担も軽くなります。
申し送りのチェックポイント・順序と情報整理
申し送りでは、情報を「順序立てて整理して話せるか」がチェックのポイントです。
介護の現場では、伝える情報が少なすぎても判断に困りますし、
逆に多すぎてもポイントがぼやけてしまい、
次に勤務するスタッフが動きづらくなってしまいます。
例えば、遅番から夜勤者へ「Aさん、夕食3割、むせ込みあり。水分は少なめ。
寝る前にもう一度声かけお願いします」と引き継ぐケースです。
このような申し送りで必要なのは、自然な会話力ではなく、
状態の変化や要点を「短く正確に伝える力」です。
既存のスタッフの方は、外国人スタッフが話し終える前に言葉を補いすぎないことも大切です。
毎回先回りして助けてしまうと、本人が自分の力で報告する形(型)を
覚えるチャンスを奪ってしまうことになります。
利用者対応でのチェックポイント・聞き返す力と基本のフレーズ
利用者との対応では、聞き取れなかったときに、
「自分からきちんと聞き返せるか」が大切なチェックポイントです。
現場では、利用者が小さな声で話されたり、同じお話を何度も繰り返したり、
痛みや不安を遠回しに伝えてこられたりする場面がたくさんあります。
「もう一度お願いします」「痛いところはどこですか?」
「スタッフを呼びますね」といった基本のフレーズは、
入職する前の段階でしっかり練習しておきたい言葉です。
分からないまま曖昧に返事をしてしまうと、
「ちゃんと伝わっているのかな…」と利用者の方を不安にさせてしまいます。
利用者のご家族への対応は、すべてを外国人スタッフに任せる必要はありません。
たとえば、お薬や医療に関する質問をご家族から受けたときは、
「担当者に確認してまいります」とお伝えしてバトンタッチする
といったルールを先に決めておきましょう。
あらかじめ対応フローを決めておくことで、現場の混乱を防ぎ、
外国人スタッフ本人も迷わずスムーズに動けるようになります。
夜勤・訪問介護に配置する前に気をつけること
夜勤や訪問系サービスへの配置は、
「制度上OKかどうか」だけで判断するのは危険です。
まずは「日本語でしっかり報告・相談ができる体制があるか」
を事前に確認しておきましょう。
十分な準備がないままワンオペに近い現場へ投入してしまうと、
緊急時に夜勤スタッフや管理者が電話越しのフォローに追われ、
かえって現場がパンクしてしまいます。
夜勤帯における転倒や発熱、呼吸状態の変化、服薬拒否といったトラブルは、
短時間で迅速に報告・連絡を行う必要があります。
シフト配置の検討にあたっては、本人の日本語能力だけに判断を委ねるのではなく、
「緊急連絡先の明記」「報告フォーマットの整備」「同行指導の期間」などの
受け入れ態勢をあらかじめ確立しておくことが不可欠です。
夜勤シフト配置前に見るべきチェックポイント
夜勤では、利用者の小さな異変に気づき、
それを必要なスタッフへ的確に伝える力が欠かせません。
日中と違って夜間は周りにいるスタッフが限られるため、
その場ですぐに誰かに相談できるわけではないからです。
夜勤シフトに入る前には、あらかじめ以下の日本語が
しっかり使えるかを確認しておきましょう。
- 転倒や発熱の状況を時間順に話せる
- 看護職や管理者へ電話で報告できる
- 記録に残すべき事実を短く書ける
- 分からないときに自己判断せず連絡できる
- 利用者へ落ち着いた声かけができる
夜勤への配置の可否は、N3・N4などの資格レベルのみで一律に判断するのではなく、
実践的な報告トレーニングを通じて見極めることがとても大切です。
管理者が自らロールプレイを行い、「22時10分、居室で転倒を発見しました」
といった具体的な報告ができるかを確認するだけでも、
配置前にクリアしておくべき課題や不安要素が明確になります。
外国人介護スタッフの訪問系サービス配置の注意点
訪問サービスは利用者のお宅で外国人スタッフが一人になるため、
施設以上に「連絡体制の整備」と「日本語力の確認」が重要になります。
訪問先で急な体調変化があったとき、スタッフが自分で判断して抱え込まず、
すぐに事業所へ報告・相談できるかが一番のポイントです。
介護分野では制度改正により、技能実習や特定技能の外国人材についても、
一定の条件のもとで訪問系サービスへの従事ができるようになっています。
最新の条件は、厚生労働省の外国人介護人材の訪問系サービスへの従事に関する案内で確認してから受け入れを進めましょう。
施設長や管理者は、「制度的にOKかどうか」だけで判断せず、
同行する期間や緊急連絡先、記録の確認方法、
ご家族への説明まで事前にしっかり決めておきましょう。
何より優先すべきなのは、訪問先でトラブルや困りごとが起きたときに、
「誰へ連絡すべきか」を外国人スタッフ本人が明確に理解している状態を
必ず整えておきましょう。


採用費用・予算の見積もりは?
外国人介護スタッフの採用コストは、
「最初の採用費用(採用単価)」だけで見積もることはできません。
日本語教育費、生活の立ち上げ支援費、登録支援機関等への委託費、
そして指導にあたる現場スタッフの人件費(時間コスト)まで含めて
予算化することが重要です。全体のコストを把握しておかないと、
入職後に「見えない負担」として現場へしわ寄せが行くことになります。
費用面において、外国人介護スタッフの採用は日本人の場合と異なり、
ビザ(在留資格)の手続きや生活立ち上げ支援といった固有のコストが発生します。
早期離職に至った場合、支払った採用費用が無駄になるだけでなく、
教育にかけてきた時間や手間も一切戻ってきません。
採用前にかかる費用の内訳
採用を決めるまでの間にも、求人募集や面接、ビザ(在留資格)の手続き、
来日のための準備や住居の手配など、さまざまなコストがかかってきます。
これらの費用を「どこまで会社が負担するのか」は、
契約内容や利用する紹介会社・採用ルートによって大きく変わってくるため、
事前によく確認しておくことが大切です。
表面上の「採用単価」のみで比較し、一見安く見えるルートを選択すると、
入職後の支援委託費や教育コストなどの予期せぬ負担が発生するリスクがあります。
管理者の方が社内で説明する際は、「採用までにかかる費用(採用前)」と
「受け入れてからかかる費用(採用後)」の2つに分けて整理しておくと、
全体像が伝わりやすくなります。
採用後にかかる費用・コストの見方
採用した後も、日本語学習のサポートや生活相談、定期面談、
家や通勤のフォロー、支援機関への委託費用など、
さまざまなサポート費用が発生します。
特に「特定技能1号」では、事業所側が支援計画を立て、
仕事面だけでなく日常の生活から社会生活まで幅広くサポートすることが
法律で義務づけられています。
支援の考え方は、出入国在留管理庁の1号特定技能外国人支援に関する案内で確認することができます。


指導する教育担当スタッフの「時間」も、
大切な費用(コスト)として考える必要があります。
たとえば最初の1ヶ月間、毎日30分の記録チェックを行う場合、
その分だけ教育担当スタッフは本来の現場ケア業務から離れることになります。
会計上の人件費としては表面化しにくい項目ですが、
受け入れ計画の段階でしっかりと見込んでおくべき時間的コストです。
費用を先に見ておきたい場合は、
料金表ダウンロードページで採用前後にかかる費用の考え方を確認できます。


採用前に決めておきたい受け入れ項目
外国人スタッフの日本語に対する不安を減らすには、
配属される前に「何をどこまで教えて任せるか」という受け入れ項目を
あらかじめ決めておくことが大切です。
ルールを決めないまま現場に入れてしまうと、
教育担当者が毎日の指導や判断を一人で抱え込むことになり、
外国人スタッフ本人も「何を聞いていいのか分からない」
と質問しづらくなってしまいます。
既存のスタッフにとっても、
受け入れ体制が分からないままだと不安が残ってしまいます。
「ケア記録のチェックは誰が担当するのか」
「ご家族への対応はどこまで任せるのか」
「夜勤業務はいつ頃から検討するのか」
といった方針をあらかじめチーム全体で共有しておきましょう。
事前に役割分担を決めておくことで、配属後の現場の混乱を減らすことができます。
外国人スタッフ受け入れ前に確認しておくチェック項目
採用前には、次の項目を施設内で決めておきましょう。
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 初月の業務 | 何を任せ、何をまだ任せないか |
| 記録確認 | 誰が、どの頻度で確認するか |
| 申し送り | どの型で話してもらうか |
| 利用者対応 | 聞き取れない場合のつなぎ方 |
| 家族対応 | 本人が答える範囲と職員へつなぐ範囲 |
| 教育担当 | 主担当、副担当、相談先 |
| 面談 | 初週、1か月、3か月の確認内容 |
| 夜勤・訪問 | 配置前の条件、同行期間、連絡体制 |
教育担当者ひとりに指導を依存する体制では、
担当者の不在時に「誰に相談すべきか分からない」
と外国人スタッフが戸惑う原因になります。
対策として「主担当」と「副担当」を設定し、
シフトが重ならない日でも常に相談できるフォロー体制を整えておくことが重要です。
いつでも頼れる環境を作ることで不安要素を取り除き、
外国人スタッフの早期離職を防ぐことにつながります。
よくある失敗
よくある失敗は、
「日本語能力試験(JLPT)のN4に受かっているから大丈夫」と思い込み、
実際の現場で使う日本語力を確かめずに採用してしまうことです。
その結果、入職後に介護記録や申し送りで苦労することになり、
先輩スタッフが毎回文章を修正するような状態が続くと、
現場に不満やストレスがたまってしまいます。
もう一つの失敗パターンは、本人の希望や事情を聞かないまま
シフトを組んでしまうことです。
「早く夜勤に入ってほしい」という施設側の都合だけで進めてしまい、
本人の生活リズムや日本語の学習時間と噛み合わなくなると、
結果として職場への定着(早期離職の防止)に悪影響が出てしまいます。
採用前の面接では、日本語力だけでなく、これまでの介護経験や希望するシフト、
そして将来の目標までセットで確認しておきましょう。
外国人スタッフ本人が「将来は介護福祉士を目指してしっかり頑張りたい」と考えているのか、「まずは日勤帯でケア記録の書き方に慣れたい」と考えているのかによって、
準備すべき育成計画やサポート方法は大きく変わってきます。
まとめ
外国人介護スタッフの日本語力は、
「制度上の資格基準」と「現場で必要な会話・実務力」
を分けて考えることが大切です。
N4やN3といった資格はあくまでスタートラインの目安にすぎません。
介護記録の記入や申し送り、利用者との会話、夜勤中の緊急報告まで
スムーズに任せられるかどうかは、実際の業務シーンを通じて
別に見極める必要があります。
採用前の段階で、「最初の1ヶ月に任せる仕事」
「どの場面で日本語をチェックするか」「主・副の教育担当者」
「生活サポートの範囲」「3ヶ月後・6ヶ月後のステップ」までしっかり決めておきましょう。
単に「特定技能だから」と制度名だけで準備を進めるよりも、
本人の日本語力や介護経験、希望条件を「実際の現場業務」に
当てはめて具体的にイメージしておく方が、
外国人スタッフ配属後の現場負担を小さく抑えられます。
次に取る行動は、単に「どの制度(特定技能や技能実習など)を使うか」
を選ぶことではありません。
自施設のシフト状況や教育体制、
介護記録をチェックする現場の余力を見極めたうえで、
「今の私たちの現場なら、どれくらいの日本語レベルの人なら無理なく受け入れられるか」を具体的に固めていくことです。
自社の勤務シフト、指導体制、ケア記録の点検に割ける時間的余裕を考慮したうえで、
「自施設の現状において、どの程度の日本語能力を持つ人材であれば受け入れが可能なのか」を具体化していくことです。










